第6話 国際関係についてご説明します



「まずミカルネス王国のほうは大丈夫だと思うわ。

それに、帝国も王国よりは公爵家のほうをとるのではないかしら。」


お母様がこれだけ自信を持って言えるのには理由があります。



まず、ミカルネス王国・ソラリアス帝国・サンフロール王国の3国間の関係について説明いたします。


サンフロール王国とソラリアス帝国はこれまで数百年にわたり対立関係にありました。

また、両国とも大陸ではトップクラスの実力を持った大国です。

対立が始まった当初、両国の間に戦争が絶えない状態でした。

しかし、35年前の戦争において、サンフロール王国は大勝利を収めました。

その戦争において、お父様は騎士団第1師団長として戦争に参加し、その地位にありながらも前線に出て敵をなぎ倒す姿から、英雄と呼ばれるようになりました。

そして、お父様は両国の王家に対して停戦を要求したのです。そのため、ここ35年は戦争もなく、比較的穏やかな暮らしとなったのです。

しかし、それはただ戦争がなかっただけのことです。両国が対立関係にあるのは変わらず、緊張状態にありました。冷戦といってもいいかもしれません。

しかし、それが変わったのが停戦から7年後の28年前です。

28年前に、父と母が結婚したのです。

29年前、父は、ミカルネス王国の建国記念パーティに招待客の一人として参加していたのです。そこで、ミカルネス王国の第一王女としてパーティに参加してしたのがお母様です。お父様は一目惚れをして、すぐにダンスを申し込んだそうです。

しかし、王女であったお母様がそう簡単に結婚できるわけはありません。それでも、お父様はあきらめませんでした。

そして、滞在期間中は毎日王宮へ通いつめ、国へ戻っても、暇さえあれば口説きに行ったそうです。

最終的には、お母様もその熱意にほだされて、ほかの方々も認めてしまったようです。

そして、必然的にミカルネス王国はサンフロール王国へつくこととなり、ソラリアス帝国は劣勢になったのです。


そこからです。ソラリアス帝国はサンフロール王国に対して協調路線をとるようになりました。

ソラリアス帝国からすれば、サンフロール王国とミカルネス王国の2国を相手にしては、勝てる見込みはありません。

また、ミカルネス王国は大陸一の石油の産出国です。

そのため、ソラリアス帝国は仲良くしておいたほうがいいと考えたのでしょう。


つまり、帝国はサンフロール王国の弱体化を望んでいるとともに、ミカルネス王国とのつながりが欲しいのです。


ミカルネス王国はもちろんのこと、ソラリアス帝国は確実にわが公爵家側につくといえるのです。


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