深痕のミシア ―3.海水浴編「あの人が、あなたを助けてくれた冒険者よ」―
真田 了
序
チャーリーはきゃっきゃとはしゃぎながら家の庭を走っていて、転んだ。
離れたところから見守っていた両親は慌てたが、チャーリーは笑いながらすぐ立ち上がって、また走り始めた。
チャーリーは今5才。
母親が40歳になる目前に産んだ子で、生まれつき病気を持っており、医士から「数年しか生きられないだろう」と言われていた。
チャーリーは時折り激しく咳き込むことはあるが、外見上は普通の子供と同じように健康そうに見える。
チャーリーの母「ああして走れるほど元気なのに…」
村長「そうだな…」
チャーリーの父「村長、いらしてたんですか。シャーリーから何か連絡がありましたか?」
村長「いや」
チャーリーの父「そうですか…」
シャーリーはチャーリーの姉で、冒険者をやっている。
シャーリーは弟の病気のことを知ると、治療法を求めて旅立っていったのだ。今はどこにいるのか、しばらく音沙汰が無い。
村長の家には遠話の首飾りがある。
遠話の首飾りとは、遠くにある別の遠話の首飾りの持ち主と会話が出来る魔法具だ。
どの村でもたいていは村長の家に置いてあって、村人が使うことが出来る。
当然各町にもあるので、シャーリーが治療法を見つけたら、村長のところに連絡があるはずなのだ。
村長「今日来たのは、旅の商人からある噂を聞いてな」
チャーリーの父「噂…ですか?」
村長「チャーリーの病気を治す薬があるかもしれない、と」
チャーリーの母「本当ですか?!それは、どこに…!?」
村長「慌てるな、あくまで噂だからな。その場所は…」
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