第20話 お姉さんとリバース
打ち合わせが終わり、そろそろ食事をしようかとなり食堂に行ったのだが、生憎ピーク時間の為だろうか、満席だったので一旦部屋に戻り、先に風呂に入る事にした。
ラティスはやはり久し振りのお風呂に喜びを隠せなかった。着替えの服は今日買った簡単な普段着だ。先程買ってきた新品の服を着た為か、表情は生き生きとしていた。
風呂上がりに食堂に行ったのだが、今度はいくつかのテーブルが空いており、空いているテーブルに向かった。
空きテーブルの所に来た時に、フォルクスの袖が誰かに引っ張られ、袖を引っ張っていた者が後ろの席に強引に座らさせた。更にフォルクスはその者に抱きつかれてしまったのだが、その途端にリバースしたの。
フォルクスはうげーと唸りつつ、誰か分かったので背中を擦りクリーンを掛けていた。
それなりに飲んでいるようで酔ってはいるが、泥酔程ではなかった。
「あちゃー、みっともない所を見せちゃったね。その、本当にごめんね。でもフォル君がクリーン魔法を使えて助かっちゃったな」
ギルドの受付のお姉さんが他の職員や受付仲間と食事をしに来ていたようであったのだが、どうやら飲み過ぎていたようだ。
「大丈夫ですか?」
「うん、ありがとう。君は優しいわね。うふ。」
「本当に大丈夫ですか?クリーンで綺麗になっても、酔いは覚めませんからね」
「うん、らいじょうぶら。これはお姉さんからのお礼よ」
ぶちゅーとキスをしてきたが、フォルクスはうぷっとなった。初めてのキスはいきなりで避けられず、酒臭かったのだ。そして頭の中に有名なゲームの効果音がピラリラリンと聞こえていたのだが、フォルクスは心臓がバクバクして気にするところでは無かった。ただなんとか一言発するのがやっとだった。
「あんたなんばしょっとね!」
「照れない照れない。これでもあたしら人気の受付嬢なのら。人気受付嬢のキスなんらから有り難く受取りなさいね!良かったれしょ?」
呂律が回っていなかったが、何とか言っている事は理解出来た
「確かに綺麗な人のキスは嬉しいけどって、何言わせてんだよ。折角のファーストキスは酒臭かったわ!レモンの味を求める!」
うふふと開き直っていたが、シーラはその様子を見てわなわなと震えていた。先を越されたと
「お騒がせしました!仕切り直すね!えへ♪。貴方達もここに食事をしに来たの?」
「あっ、はい。僕達はここの宿に泊まっているんです。」
「あら?そうなのね。ここは美味しいでしょ。安くて美味しいし非の打ち所が無いのよね。ねえねえ、リサ、聞いてよ。この子ね、2日前に男2人で現れて冒険者登録をしたばかりなのに、もうこんなに美人な子達を連れているのよ。あの大きい子は大男君の彼女みたいだけど、後の3人はこの子の彼女なのよ。手が早いよね」
「す、凄いわね君!やるわね。ユリアも落としちゃいなよ。キスもしたし、このこちょろいわよ」
等と言われて、シーラ達はいじられ始めるのであった。
いじられ始めたとは思っていないシーラは先程までワナワナと震えていたが、彼女と言われるとくねくねしていた。カーラは面白がっているが、ラティスは状況について行けていなかった。
「あらあら。可愛いわね。真っ赤になっているわよこの子達。うふふふふ。やっぱりお姉さんもお嫁さんにして貰おうかしら?歳上は嫌い?」
フォルクスではなく、意味ありげな視線をシーラにしており、シーラはギルドのお姉さん達に更にいいようにいじられていた。だが、助けないフォルクスであるし、彼はいじられないのである。
そう、酔っぱらいの戯言を躱したり受け流す程度の余裕がフォルクスには多少だが有ったのだ。そして無意識に落としに掛かっていた。
「へー、よくここに食べに来るんですか?美人に年齢は関係ありませんよ。それに歳上と言っても3歳だけじゃないですか。しかもエルフの歳上は歳上のうちに入りませんよ」
「そうねぇ、2、3日に一度位かな。こうやって仕事帰りにいつものメンバーでストレスを発散するのに飲んだりするのよね。あっ、そうそう、ここにいるメンバーで君達の魔石を買い取りに行くけのだけれども、どうも面白い事になりそうね」
「うん、多分そうなりますよ。ここだけの話ですが、この子達が権利を一気に買い戻す事が出来る算段をしています。おそらくやり方の予測がつくと思いますが、お姉さん達が見ていて楽しめると思いますよ。だからにやけた顔にならないようにだけお願いしますね」
「かなりの大物を倒す気満々なのね」
「あれ?えーと、それもあるんですが、そうじゃないんです。今の時点で分からなかったらまあ、当日のお楽しみという事で。僕達は明日から4日は町を出て狩りに行きますので、寂しいですがユリアさんとは暫く会えませんよ」
「そっか。暫くの間会えないのか。お姉さんは寂しいぞ」
とフォルクスを抱き寄せ、その豊かな胸に頭をスリスリではなく、グリグリさせていた。
そうしていると他のお姉さん達が止めに入った。
「ちょっとユリア、坊やが喜んでいるじゃなくて、困っているじゃないの。少なく共彼の彼女達に睨まれるているわよ。ってさっきのキスでもう御冠よ。もう酔っ払ってないでやめなさいってば。ごめんねユリアってばお酒を飲むと少し絡んでは来るのだけれども、いつもはこんなんじゃないのよ。ちゃんと言っておくから許してね。多分お兄さんに惚れちゃっただけだから気にしないでね。この子は珍しく男の話をって、今日は君の話ばかりだったのよ。それとも君、お持ち帰りする?この子こんなだけど、身持ちは良くてまだバージンよ。彼女の初めての相手になっちゃったら?この子酒が入らなかったらまさしく天使なのよ」
フォルクスは手を降るだけで相手にしなかった。彼女達は既に食べ終わっていた為、お勘定をして嵐のように去って行った。そんな事が有ったが、この後の食事は誰かに絡まれる事もなく普通に終わり、楽しいひと時を過ごす事が出来た。まだラティスの表情は硬かったが、ハニカム位には落ち着いていた。お腹も満たされ、やがて部屋に引き上げて行った。
部屋に戻ってからは、荷物の整理や買い物をした服等をラティスに渡していた。武器は予備のレイピア、予備武器の短剣を買っており、渡して確認をしていた。念の為にと突き武器のエストックまで買っていたのだ。
荷物の整理も終わり、クリーンを掛けたので後は寝るだけになっていた。
だが何やらどうしようどうしようと、シーラ、カーラ、ラティスの3人で悩んでいたようである。結局 シーラが譲ったようで
「まあ、良いわ。今日は私は一人で寝るから」
とフォルクスの意見等は無視されている状況で、何故か話が決まったのだ。
フォルクスは今日はベッドに横になり寝る段階から既に2人の女性というか女の子に挟まれていた。
そう、今日はカーラとラティスに挟まれて寝る事になった。現状としてフォルクスが手を出せないのが分かっているのと、頭を撫でたり背中をさすったりというようなボディータッチではなく、胸を触ったり足を撫で回したりといった性的な性質のタッチをしてこないからである。
フォルクスはやせ我慢をしていた。手を少し動かせば胸を触れるのだが、彼女達の涙を見てしまえば無粋な真似をする気はなくなるのだが、まだ幼いとは言え、年頃な綺麗な、そう美少女が横にいるのだ。
今の段階だと人畜無害扱いだ。というよりも首輪の所為で何もできないのもあり、今は不安なので添い寝をして欲しいという事を言われた為、フォルクスには断る事ができなかった。
その為悶々とした夜を過ごす事になったのである。
間違いの起こしようが無く、何事もなく朝を迎えたと言いたいが、フォルクスが寝不足で目の周りにくまが出来ていたのが一番大きい事柄で、それを除けば平穏な朝を迎えていた。
準備も順調に進み、奴隷商の営業が始まる1時間位前に奴隷商に着くように宿を出たのであった。
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