第16話  ラティスの境遇

 フォルクスはラティスの容姿について、試験中は遠目でしか見れなかった為、顔やスタイル等は何となくしか分からなかった。また、食事の時はそれどころではなかったのだが、フォルクスは改めてラティスの事を外観を含め、仕草や所作等を見定めていた。


 やはり15歳になるかならない位だろうか、まだあどけなさが残る高校1年生位かなとは思うが、物凄い美少女で何より胸が大きい。歩くとたぷんたぷんとゆれるのだ。フォルクスは思わずゴクリとしていた。


 フォルクスの見立てではヒューマンで


 身長は165 cm 位で、この世界の女性の中では大きい方だ。また、足腰はかなり細くスタイルは物凄く良い。出る所が出ているのもあるが、無駄な肉がない。服装はふわっとした生地の紫のスカートにブラウス。その上にちょっとした上着を羽織っているような感じだ。見立てには致命的な誤りがあった。そもそもヒューマンではない。


 スカートはこの世界の人達は短いスカートを好むのか?と思う位に短く、ちょっと動けば下着が見えそうな位だ。

 青髪のストレートで碧眼、キリッとした顔立ちの男装が似合いそうな美人で髪はショートカットだ。


 ラティスはフォルクスの正面に座ったのだが、ガードが甘かった為に薄い緑にリボンが着いた清楚な下着がフォルクスからはチラチラと見えていた。だがフォルクスは、それとなく前を隠すような仕草をした。するとラティスは真っ赤になってスカートを直し、デルタゾーンを隠していた。


 ラティスに今までの事を聞く事になったのだが、その前に一番心配しているであろう事から確認と説明をする事にした。


「さっきのシーラの話だと、君の初夜権も明日売りに出されてしまうという事だが間違いないの?」


 泣くのを我慢しており、頷くのが精一杯だ。


「分かった。もうシーラから聞いているかな?ここにいるカーラ、リズ、シーラも明日初夜権が売りに出されてしまうんだ。そこで俺とべソンとで3人の初夜権を買い取り、18歳に成るまで権利の執行を猶予する事にしているんだ。これは指定可能範囲の中での最長の期間だ。その間に何とか頑張って買い戻しのお金を稼ぎ出す感じた。それは聞いている?」


 うんと頷く。


「いきなり会ったその日に俺達を信用しろというのは無理だとは思うけれども、彼女達と同じ条件でラティスの初夜権を俺が買い取ろうと思うのだけれどもどうだろうか?お金は手持ちが心許なくなってしまうけれども、贅沢をしなければ学校のお金と入学するまでのお金位はまだ大丈夫だ。それとね、シーラから君の初夜権を誰かが買うと、恐らくその日のうちに初夜権を行使されてしまうと聞いたのだけれども、どういう事だろうか?今は14歳だよね?」


「はい。実は明日は私の誕生日で、15歳になります。初夜権は15歳になるまで行使が出来ない事になっています。ですので明日15歳になる為、恐らく権利を買われたその日のうちに犯されてしまうのだと思います。というよりもそのままその場でかと。初めては好いた方と過ごしたかっのだが、く、悔しい!」


 両隣でラティスはカーラとシーラ から背中を擦られていたりして慰められている。


「3年か、3年の間に君が俺から買い戻す事が出来ると良いのだけれども。勿論そのサポートを俺達はするつもりだよ」


 ラティスは少し落ち着いてから


「本当にい良いのですか?一応18歳まで執行猶予が可能だとは聞いた事はありますが、そういう事を他の条件無しに設定する人がいるというのは聞いた事がありません。シーラ殿は権利が行使できる15歳になる迄に買い戻しが出来なければ、半年間の性奴隷になる条件をあいつから提示されたと聞いています。購入額で買い戻しを条件にとはいえ、普通ならまず無理ですよね。フォルクス殿が私の権利を買われるのに何故直ぐに抱こうとしないのでしょうか?これでも見た目には自信がありましてよ」


 フォルクスはラティスをじっと見つめて


「ラティス、君を抱きたいか抱きたくないかで言えば、勿論男としては君のような綺麗な女性とその、エッチな事はしたいよ。でもさ、それはお互いが好き合っていて、恋愛をして気持ちが一つになってから抱きたいんであって、所有権を買って無理に相手を辱めようというのとはまた違うんだ。無理やり嫌がる女性を犯したいとは思えないし、抱けないよ。俺はこの初夜権という制度や政略結婚などが許せないんだ。それと今から言う事は第三者に言わないで欲しい」


 ラティスが頷くのを確認したので話を続ける。


「おそらく僕はいや俺は異世界から来た者なんだ。記憶を喪くしているから多分なのだけれどもね。俺は異世界の文字しか書けないんだ。因みに異世界から来た者はどういう扱いになっているのかは正直よく分からないけれども、何かしらの目的を持って他の世界から来ている筈なんだ。今は記憶を喪くしているのでよくは分からないけれども、僕は君に対して誓うよ。ラティスが18歳になる時に万が一買い戻せなかった時以外、初夜権の行使はしないと。流石に初夜権を期限一杯の段階で行使しないと俺とラティスが死んでしまうし、俺も死にたくないから抱かざるを得なくはなる。僕はこういう形じゃなくてラティスをきちんとした一人の女性として向き合い、もし縁があればその上で抱きたいんだ。カーラにしてもシーラにしてもそうだ。という訳で4年半有った買い戻しの期間を3年としなきゃいけなくなった。これから土日が殆ど無くなるぞ」


 シーラが突っ込んできた


「土日って何よ?それに、さっきからあんた無理してるでしょ?アンタは無理して格好つけて俺なんて言わなくて、僕の方が似合ってるわよ。それにさっきから僕と俺が混ざってるわよ」


「そ、そうか・・・すまない。休日の事だよ。向こうの世界では土日というのは基本的に学校が休みなんだ。この魔法学校にも長期の休みというのが有るんだろ?休みの日などに魔物を狩ったり、ダンジョンとかが有ればそういう所を探索して、パーティーとしてお金を稼ぐんだ。それとラティスはどうする?僕達のチームに入るかい?」


「本当に宜しいのですか?私にはよく分かりません。その、フォルクス殿達のメリットが本当に分からないのです。この首輪に同情して手を差し伸べてくれたのかな?としか。私の方は本当に良い事尽くめなので、土下座をしてでもお願いしたいです」


「うん。実は昨日ね、例年だとあと一人はチームに加えられるよね!となり、もしも良さそうな人がいれば一人加えようという話になったんだ。それで誰にするかを試験の時に可能なら見極めようとして、さっきからずっと皆が魔法を放つ様を見て誰にするかを決めていたんだ。そしてラティス、君のあの結界を見てこの人だ!と直感したんだ。どのみち6人にしなければならないから、誰か一人をを入れないと俺達が不合格になる。そして一人でいたラティスは都合が良かったのさ。だからお互い様だから気にすんな!それと首輪をしているというのも大きかったけどもね。気が変わらないうちに取り敢えずチーム登録をしておこうか!」


 ラティスが泣いて頷くので、フォルクスはつい抱きしめて頭を撫で、ハンカチを渡した。やはりでかい。やはり年頃の男の子だから胸の感触が堪らないのだ。


 そして早々にチーム登録をし、一番最初に登録したチームになったのであった。

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