第0-2序章 召喚篇
第8話 召喚
時は少し戻り、フォルクスが召喚された時になる。
赤井 雄馬は14歳。お調子者で少し前まではクラスのムードメーカーだった。
身長は155cmではあるが、この1年でなんと10cmも伸びとおり只今成長期真っ最中であった。体格は痩せており、顔自体は穏やかで優しい雰囲気がする。
雄馬はお調子者で、周りからチビ助と揶揄されていた。面と向かってのまともな会話が苦手で、おちゃらけて自分の本来の姿を隠ん。弱い自分の本来の姿を悟られたくなく、誤魔化していたのだ。
悪人が許せなかった。殺人や強盗のニュースを見ると、犯人に対して本気で死ねば良い、僕に力があったら裁いてやるのにと思ったり、所謂不良に対しても殺してやりたいと思うのだ。権力者に対してもそうだ。偽善者め!等と思うのだ。普段から両親には構って貰えず、放って置かれていたから恨んでさえいた。
また、一月前に好き勝手にしていて海外旅行に行った挙げ句、危険な所に観光で出掛け強盗に襲われあっさりと死んだと聞かされたのだ。
それから人が変わったように神経質でびくびくする感じになっていた。また滅多に喋らなくなっていった。その為に周りから少し距離を置かれていた。今はそっとやろうと。
雄馬の心はかなり歪になっていた。ただ、お年寄りの荷物を持ってあげたり、子供にも優し買った。何より妹を可愛がっていた。
とにかく力を正しい方向に使っていない者が許せなかった。特に部下や自分を平気で殴る父親には。亡くなっても変わらない。
ただ、ネットでの文字のやり取りはちゃんとできているのだ。
友人は少ない。雄馬の性質を知っている幼稚園からの付き合いの友達が2人今も毎日声を掛けてくれるが、うんとか大丈夫としか言わなくなっていた。
そんな感じでいつの間にか帰宅後はネットに逃げ込んでいる日々を過ごしていた。
学校には行くが受験勉強が有るからと、そそくさと帰るような日々を過ごしていた。
帰宅すると少し勉強をし、残りはネットゲーム三昧だった。
そんなある日、以前からチェックをしていた新作VRゲームのβ版テストプレイヤーの募集が発表され、奇跡的にβテストのモニターに当選したのだ。
そして今はそのβ版のキャラクターメイキングの真っ最中だ。送られてきたヘッドギアを装着し、ネットにダイブしようとしていた。
変だなと思わなければならなかった。なにせ申込時や当選した後に住所等を記載していない。なのに性能評価のレポートを条件に、推奨スペックのパソコンが送られてきたのだ。モニター、ヘッドギア、マウスを接続し、パソコンの電源を入れると自動でβ版が起動した。ネットに繋ぐ設定をしていないのにだ。
ゲーム自体はよくある剣と魔法のファンタジー物だ。魔法より剣が主流で、β版の主人公は兵士から始め、騎士や魔法戦士にクラスチェンジする。記憶を失った1兵卒からスタートという設定だ。
スキルは何にするかな?と色々選んでいた。初期ポイントが有り、そのポイントの中からポイントの範囲内で幾つかを選ぶ。鉄板なのは無限収納。モニターの設定では自分は勇者になるらしいが、どれか一つの属性の精霊の加護が受けられる。各々違う特典が有り、いずれ頑張り次第で精霊と会話が可能で、使役も出来る。流れ矢であっさり殺られるのも嫌なので、飛び道具や矢の類が100%当たらなくなる特典から風を選んだ。
更に特典として会話は自動翻訳が有るが、文字は読めないので学ぶ必要がある。交渉術や魔法の全属性所持を追加した。騎士になる為には回復が必須だろうと思い込み、光属性を選んだ所でポイントを使い切った。中には超イケメンや、魅了魔法があった。魅了した女性を手籠に出来るのだが、ゲームじゃいらないなとスルーした。リアルだったら女性を取っ替え引っ替えの夢の魔法だ。
キャラクターメイキングが終わると変なメッセージが現れた。
ようこそ。イプシロンVRβへ。貴方が唯一の適合者になります。本物の異世界へ貴方を誘います。注)この世界での死は実際の死を意味します。また、2度と元の世界には戻れません。承知の場合のみ続行を。尚貴方の記憶は召喚の対価として消去されますが、代わりにランダムで特殊スキルを付与します。
細かな約款が書いてあり、ゲームではなく、生身の人間として異世界に行く事、異世界に行く特典として特別なスキルを得られる。勇者として行くが、記憶が無いから今設定したり説明を受けた事が分からない。死ねば現実に死ぬし、日本には帰って来られない。そのような事が書いて有ったが、笑いながら読んでいて、ゲームの世界観の設定程度にしか思わなかった。
中々凝った設定だなと雄馬は感じた。名前はフォルクス、身長175cn、チュートリアルという兵士になるまでの訓練期間が終わった時は15歳にした。兵士になるまでの訓練期間は約1年。見た目は現地の一般人にカスタマイズされ、金髪に碧い目。普段ネットで使っている名前をここでも使う。
まあせいぜい僕を楽しませてよ!とニヤニヤしながら、スタートではなく、転移ボタンをポチるのであった。
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