徳梅聖流さん②:24歳。スーパーの店員 ~医務室にて~
うん……。
んんん……。
あ、あれ?
あ、ごめん。
てゆうか、な、なに、これ? なんで、私、医務室にいるわけ?
そして、なんであなたがここにいるわけ?
しかも、こんなところに二人きりで。
もしかして――
最低ね。
え?
誤解だって?
いきなり倒れた? 私が?
……運んだの? あなたが?
……。
……どうやって運んだの?
うん、はいはい。……。
……まあ、ありがとう。とりあえずお礼は言わなくちゃね。
なんだ、それなら早く言ってよ。勘違いしちゃったじゃない。
ごめんね、いきなりビンタしちゃって。痛かった?
ほんと?
まあ、男の子だもんね。それぐらい、なんてことないか。
びっくりさせちゃったね。
ん?
いやいや、そっちじゃなくて私が倒れたこと。
さっきのビンタは……忘れて。
それにしても、風邪ではないと思うんだけど、どうしちゃったのかな。
貧血?
そうなのかな……。
……って。
もう大丈夫だから、売り場に戻っていいよ。なんだか心配させちゃったね。
私もちょっとだけゆっくりしてから、そっちに戻るから。
今日、荷物多いし。パッパッとやらないと終わらないからね。
じゃあね。
……。
看病?
いいって。そんな大げさな。
いやいや、そんなに心配されると、なんだかかゆいんだけど。言っとくけど、そんなにか弱くないからね。
……ああ、もうわかった、わかった。
じゃあ、暫くそこにいていいよ。でも、あんまり二人だけでいると皆に変な心配されちゃうからすぐに戻るよ。
それでいいよね?
話は変わるけど、私、医務室って初めてきたかも。やっぱり、こういう設備って必要なものね。ここで寝てる人、見たことがなかったけど、まさか自分が第一号とは。
意外と寝心地はいいかも。侮れないものね。
学校の保健室? そんな感じ?
保健室で寝たことある? ない?
まあ、そうだよね、特に用もなければそんなとこ行かないよね。
私も無い。だから、今日は貴重な体験かも。
自分も寝てみたい?
だめだめ、何言ってるのよ。こういうのって、遊びで使う施設じゃないからね。ちゃんと、消防法や労働安全衛生法ってやつで決まってるの。
本当に具合が悪い人が使えなくなっちゃうでしょ。
……え?
……。
はいはい、そういうのはね、あなたの彼女や好きな相手にやってあげなさい。
私にはだめ。
わかった?
そうそう、わかればよろしい。
じゃあ、売り場に戻ったら商品補充よろしくね。
もう、休憩は終わり。
あなたが変なこと言うから、なおさらこんな場所にはいられないわね。
ほらほら、立って立って。
……。
まあ、でも、なんだ。
医務室まで運んでくれてありがとう。
私、重たかったでしょ?
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます