第5話新たな学校生活
リューズ「し、失礼します...」
中年教師、マルデュークによる地獄の説教は4時間にも渡り、あまりの長さに途中から完全に意識が飛んでいた。生きた心地はしないが空気の味をここまで美味しく感じたのは恐らく初めてだろう。あの部屋では呼吸すら怒号に聞こえてしまう。やっとの思いで学校に来たというのに、説教が長すぎて授業も終わっているため帰宅以外にすることがない。
今日から始まる寮生活に胸躍らせていたのは遥か昔のこと。学生寮には様々なルールが存在し、不自由極まりない。今日のことは記憶から抹消し、一人寂しく食事を澄まして明日の授業に備えることに決めた。
翌日、時間に余裕持って登校をしたが校門で待ち構えていたマルデュークに捕まってしまう。
マルデューク「ほう、昨日に引き続き遅刻をするのではと思っていたが案外素直なんだな。学校生活を真面目に送ることが貴様ら生徒の使命であることを忘れるな。」
リューズ「僕も先生は人を半殺しにすることしかできない悲しいモンスターだと思っていましたが、同じ哺乳類であることを目の当たりにして涙がでそうです。時代が違えば人間として生きていけたかも知れませんね。来世に期待しています!」
いままでの人生で最も必死な逃走が始まる。命をかけて足を動かし、とにかく捕まらないことだけを考え走り出そうとする。が、凄まじい罵声を浴び去られたにも関わらずマルデュークに追ってこようとする様子はない。
マルデューク「やはり反省をしていないようだな。今この場で貴様を土に還してやりたいところだが、可愛い生徒たちへの挨拶があるのでな。次に会う時までにいい墓場を探しておくんだな。」
リューズ「クソ教師~チンパンジ~頭が大惨事~。なななな~なななな~ななななナメクジ~。」
どこかで聞いたことのあるラップ風の暴言を発し、その場を急いで後にする。あの人間のふりをした化物にまた捕まっては文字通り消し炭にされてしまうだろう。
昨日、ほんの一瞬だけ入室することができた教室で授業を待つが、早めに来ていたので生徒もあまり集まっていない。学校を見て回ろうかと考えていたが、後ろから声をかけられる。
「お前って昨日あの筋肉教師に連れていかれた問題児だよな?最後まで帰ってこなかったしどれだけの時間絞られてたんだよ。」
軽そうなノリの男子生徒だが、しゃべり方からまるで知性を感じられない。人のことを問題児呼ばわりするとんでもない無礼者だが、これは友達を作るチャンス。一応ある程度親密に接しておくか。
リューズ「ちょっと遅刻しただけで4時間ぐらい説教されたんだよ。絶対なにかのハラスメントに引っかかってるだろ。」
「やばいなそれw。もう立派な問題児じゃんかよ。お前といたらなんか楽しそうだし仲良くしようぜ。えーっと、名前なんだっけ。」
リューズ「真面目に学生生活を過ごす予定のリューズだ。よろしく。」
「なんだそれw。俺はクルヴィ。絶賛彼女募集中だからさ、いい人がいたらぜひ紹介してくれよな。」
リューズ「...気が向いたらな。」
こいつは絶対脳みその容量が少ないな。
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