ゲームを始めたら異世界転生していました~折角の転生だし無双できるか試してみよう~
てんねんはまち
第1話
アクションRPG、リズムゲーム、レースゲーム、パズルゲーム、ボードゲーム――世の中には色々なゲームが存在し、大半の人は何かしらのゲームを触った事があるだろう。
俺は世の中で言う所のゲーマーだ。しかし、どのゲームも数十、数百時間程度しかしておらず、ガチ勢を名乗れるほどやり込んだゲームは今のところ無い。
「何か面白いゲームあればな……」
自分しかいない部屋で、誰に語り掛けるわけでもなく口癖のように口から出る。
ここ数日はクソゲーを掴まされてばかりだ。いや、実際には俺個人に合わなかっただけなのかもしれないのだが。
空しくゲームの販売サイトを漁り、気になるタイトルがないかマイスホイールを転がしながら流れる画面をぼうっと眺める。
大量のゲームが並んでいるのに、気になるゲームは意外と少ない。さらにそこから数十時間プレイ出来るほどハマるゲームというのはもっと少ないのが現実だ。
「お……いや、これは合わないな……」
サムネイルで気になったページを開いては閉じる。その作業を繰り返して、もはや妥協と言っていい感覚でいくつかのゲームを購入リストへと入れ、購入する。
「さてと、積んでるゲームも少しは消化していくか……ん?」
購入したゲームのダウンロードの間に入れたまま放置していたゲームを起動しようとした時、購入した覚えのないゲームがインベントリに入っていることに気付いた。
Walhalla、カタカナで書けばヴァルハラというそのゲームはオープンワールドのファンタジーアクションゲームのように見えた。
どこかのタイミングで買ったのかと思い、ストアページを探してみるも見つからず、ネットで検索してもそれらしい検索結果は出てこない。
「どこで買ったんだろう……」
記憶を掘り返しても心当たりはない、既にインストールされており、相当昔に買ったのだろうと自分の中で勝手に納得し、何の気なしにゲームを起動させる。
通常、ゲームを起動した際には作成会社等のテロップが出てくるものだが、それとは違うものが画面に映し出されていた。
「……はあ?」
俺は思わず困惑した声を出しながら眉をひそめた。
画面には文字が表示されており、それはこう書かれていた。
このゲームをプレイする場合、今いる世界からは完全にシャットアウトされます。
その代わりに貴方には特別な力を授け、新たな人生のサポートをする神の加護を約束します。
万が一、ゲーム内で死亡した場合は通常通りの処理をさせていただきます。
同意できる方はプレイを、同意できない方はゲーム終了を押してください。
ゲーム内キャラに感情移入させるためなのだろうか、それにしては簡潔すぎる上に最後の文が意味不明すぎる。
しかし、こういった物もそこまで珍しいわけではない。機械翻訳されたゲームであれば日本語が怪しくなっているという事は十分にあり得る。
俺はマウスカーソルをプレイへと進めた。
特に何か起きたわけでもなく、画面にはよくあるキャラクリエイトの画面が表示されていた。
しかし、よく見てみるとそのテクスチャは実写のような気持ち悪さがあり、ランダム生成される顔もネタに出来るようなものではなく、何度試してもイケメンや美少女ばかりが表示される。いくつかのプリセットをランダム表示しているのかとも思ったが、10分ほどランダム生成しても被りらしいものは見つからず、妙なところを作り込んでいるような印象を受けた。
「ま……男でいっか」
画面越しに追いかける尻は美少女の方がいいという意見もあるが、俺はせめて画面の中でだけは女の子にちゃんと話しかけたい派だ。
キャラクター名は……実家にダックスフントがいるからダックスでいいだろう。ちゃんとした人ならカッコいい名前を思いつくのだろうが、生憎俺のネーミングセンスはド底辺だ。
ランダム生成された日本人風のアバターを軽くいじくりまわし、俺はゲーム開始のボタンをクリックした。
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