ネクロリコレクション

たかおみうるは

プロローグ

 一羽の鳥が、雲一つない冬空を飛んでいた。薄い灰色に水色の斑が入った、体長二十センチメートルほどの鳥だ。性別はオス、種類は不明。生まれてすぐあるじに『ソシィ』と命名されてから、彼には自分の種類など関係なかった。

 首の辺りには小さなポシェットがかかっている。主が作ってくれた物だ。どんな強風が吹こうとポシェットが外れないよう、バックルで紐が調節されていた。バックルには銀の金具もついていた。

 眼下はランキッド大陸。黒装束の人物が歩いているのが見えた。一瞬、迷ったが、あれではない。ソシィは一直線に目的地を、いや、目的の人物を目指していた。彼が一番に信頼し、心を許す、主の元へと――

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