第9話  『艶魔魔都』 急

冒険者達を集め、大公邸もといそこにいるミグドノレシアに襲撃を仕掛ける一行。果たして決着は如何に。


リファー:「決戦の朝、気を引き締めて参るとしましょう」


ヒルダ:「――――――さぁ、いけすかないあの女の顔面、一発ブチ込んでやりましょうか」


ミミィ:「にゃ~~、気は乗らないけどそれより安全な策が思い当たらないにゃぁ~~」


GM:さあ、視界の先には今や仇敵の住処となった大公邸!妖艶魔将ミグドノレシアとその部下達は一晩の間に準備を整えたのでしょう。操霊魔法で操られるゴーレムもいます。


“妖艶魔将”ミグドノレシア:「ホントにまた真正面から来るなんて、アホなの?脱獄された時はちょっと驚いたけど、これじゃあねぇ」


ヒルダ:「さて、どうかしらね?」


“妖艶魔将”ミグドノレシア:「アッハハ!まあいいや、それならそれで殺してあげる!処刑は期日通りに執行されるのよ!」


GM:両軍、激突!乱戦の最中、しかし君たちとミグドノレシアは、お互いの軍がそう示し合わせたかのように正面、一対一!戦闘開始です!魔物知識、先制判定をどうぞ!


この魔物知識判定は、リファーがなんと弱点まで抜いて判明します。


GM:普通に剣のかけら入りのサキュバスです


ミミィ:普通にって言うけど滅茶苦茶格上だにゃ


この時点でのパーティの平均レベルは7~8レベル程。サキュバスは11レベルであり、圧倒的に格上の存在です。しかし、取り巻きのいない状況ならば、苦戦することはないだろうと踏んでいました。


ユスティーツェ:では先制判定を


GM:おっと、その前に戦闘準備でスカウト2人とリーゼロッテにアトロフィーを行使するぜ


ヒルダ:うげっ


アトロフィーはデーモンルーラーの魔法(ミグドノレシアは召異魔法と操霊魔法の遣い手です)で、相手の先制値を2下げるという効果を持っています。これにより先制は圧倒的に不利に。


ヒルダ:そういうことなら恩寵を使うわ


ユスティーツェ:同タイミングでヒートウェポンを自身にかける


ヒルダ:「舐めるんじゃないわよ、淫魔ッ!」(コロコロ……)ああっ足りない!


リーゼロッテ:「取らせません!」(コロコロ……)ッ、変転して取得!


“妖艶魔将”ミグドノレシア:「チッ、お姫様らしく後ろで震えてりゃ良いのに」


リーゼロッテ:では初手はカンタマ(カウンター・マジックの略)を全員にかけましょう。淫夢で全員が眠らされると一巻の終わりです(コロコロ……)かかりました。鼓咆は烈火で


ミミィ:とりあえず剣を導くにゃ。いち早く9レベルになったことで取得した双占瞳(一度に2人を占瞳の対象に出来る)で(コロコロ……)よし、更に対象1人増えて命中振る組は全員+2にゃ!


リファー:では粘着液の矢で回避を下げましょう。自身にシャープアタッカー、前衛2人にウイングフライヤーをかけて、牽制攻撃Ⅰと言いつつ(コロコロ……)達成値21です


GM:(コロコロ……)こちらは出目悪く17。ってか基準値2つ負けるのか……


色々とバフを想定しつつエネミーを選定したGMでしたが、リファーのバフのことがすっかり頭から抜けており、思った以上に攻撃が当たることに。


リファー:「動きは捕らえられますね…‥これなら」


“妖艶魔将”ミグドノレシア:「うわっ、何コレ、最悪……」


ヒルダ:「最悪?ならこれからもっと最悪になるわよ」練技と恩寵を使いつつ投げ!


GM:そこまでやらんでも(コロコロ……)ほら当たった


ヒルダ:ダメージは21点。絞め殺しの効果で防護点を1点下げるわね


ユスティーツェ:では俺もキャッツアイを起動しつつ魔力撃(コロコロ……)出目7で達成値23


GM:頑張れミグドノレシア(コロコロ……)おっ、出目9で……達成値に直すと21だわ、めっちゃ当たる


ユスティーツェ:(コロコロ……)ではダメージは36点


GM:いてえいてえ。だが手番は返ってきた


“妖艶魔将”ミグドノレシア:「淫夢を見せてあげるわ!」(コロコロ……)達成値20!範囲内に全員いるから抵抗してね


リーゼロッテ:(コロコロ……)出目11で達成値24です


ユスティーツェ:また抵抗で凄い出目出してるな……


これにはリーゼロッテとリファーが素で抵抗し、ミミィが魔符を使って抵抗。


ヒルダ(コロコロ……)達成値17。誰か恩寵頂戴!魔符と一緒に使えば抵抗出来る!


リファー:「精神を強く持って!」恩寵


ヒルダ:「――――――ッ!!」唇を噛んで血を流しながら魔符を破る


リーゼロッテ:「こなくそっ……!」


ミミィ:妹ちゃん!?


GM:違う!ミグドノレシアのセリフだよ!ああでもちょっと言いそうだな!?


一同:(笑)


ユスティーツェ:ギリ言いそう


GM:お兄様がそう言うならそうだな!良いよじゃあリーゼロッテが言った!!


一同:(爆笑!!)


ヒルダ:ヤケにならなくていいのよGM


GM:ええい脱線した!手番返すよ。これ主動作だからさ。あとごめん、デモンズタックスの存在忘れてたからヒルダさん12点食らっておいて


ヒルダ:あら了解。結構痛いわね。じゃあロールに戻るわね


ヒルダ:「ハッ……!!アンタじゃノレ無いのよねッ!!」


“妖艶魔将”ミグドノレシア:「キーッ!」


ユスティーツェ:「────ハッ、無様だな」


リーゼロッテ:では鼓咆を業火に更新しつつレジスタンスを演奏します(コロコロ……)成功。抵抗+1です


ヒルダ:じゃあリファーの粘着液の効果がまだ-2な状態な内にもう一度投げるわね(コロコロ……)


GM:(コロコロ……)あっ、出目11で回避


ヒルダ:腕輪破壊するわね


GM:了解。じゃあ当たった


ヒルダ:ダメージは25点。デモンズタックス分回復するために自分にリプロデューサー(継続HP回復)を使用して終わり


ユスティーツェ:自身にクリティカルレイSを使用して魔力撃(コロコロ……)21だ


GM:(コロコロ……)14とかだ。ダメージどうぞ


ユスティーツェ:(コロコロ……)クリティカルレイSの効果で回って(コロコロ……)50点


GM:ん?回った後のピンゾロは自動失敗じゃないけど


ユスティーツェ:いや、ダメージが50点だ


GM:は?


“妖艶魔将”ミグドノレシア:「いっっっっっっった!?!?」


恐るべし真銀王の剣。PLがユスティーツェのデータをかなり攻撃的にしているのも相まって恐ろしい火力を叩き出します。


リファー:では最後に攻撃します。念動の矢で命中を底上げして(コロコロ……)達成値23


GM:(コロコロ……)16。いや、ってかこれ6ゾロチャレンジだったな


リファー:ダメージは22点


“妖艶魔将”ミグドノレシア:「ヒッ……!」


なんと2ラウンドでミグドノレシアは虫の息。驚くべきはリファーとミミィの命中支援能力の高さでしょう。固定値的には差し引きで5以上の変動を起こしています。


ミミィ:手番余ったから抵抗上げる占瞳を前衛組にかけるにゃ。安らげ~(コロコロ……)+2するにゃ


GM:じゃあ手番もらいます。デモンズタックスをかけなおしつつ、《マルチアクション》を宣言して……


ヒルダ:ん?マルアク追加してあるの?


GM:え?(モンストラスロアパラパラ……)あっマルアク使えないのかこいつ!?


ユスティーツェ:ボスだしそれくらい後付けで使えるようにしても良いと思うが……


GM:いや流石に不公平でしょ。仕方ないし回復だけして終わり――――――命乞いしますね……


一同:(笑)


GM:流石に勝ち目がなさ過ぎるしこいつは武人でもなんでもないから無様に命乞いするよ


“妖艶魔将”ミグドノレシア:「ね、ねえ、もう辞めない?ほ、ほら、私をここで助けてくれたら毎晩私の体を好きにして良いわよ?もう人殺しもしないし!約束するから助けて?ね?ね?」


ヒルダ:「――――――で?」


“妖艶魔将”ミグドノレシア:「ヒッ」


ヒルダ・トムソン:「ウフフ、お姉さんね?女である事に誇りを持っているのよね?――――――だからこそ、それを武器と使う貴方達には一定の敬意を持っていたのよね?」


ヒルダ:というわけで容赦しないわ


ユスティーツェ:そうだな


ミミィ:じゃあ占瞳かけてくにゃ


GM:仕方ないとはいえホントに容赦無いな君ら


ミミィ:真銀王の剣前提で弱点を暴いていくにゃ(コロコロ……)ブニャッ!?(ピンゾロ)


リーゼロッテ:「ミミィさん!?」


ミミィ:「おのれサキュバス……面妖な術を使いおるにゃ……」


“妖艶魔将”ミグドノレシア:「それはアタシのせいじゃないわよ……」


ミミィ:「お前のせいにしておくと丸く収まるのにゃ」


ユスティーツェ:じゃあ斬るか。真の銀の剣を使用


GM:(コロコロ……)避けられない。ダメージください


ユスティーツェ:(コロコロ……)今度は回らず39点


“妖艶魔将”ミグドノレシア:「ヒッ……いたいいたいいたい!イヤーッ!!」


ヒルダ:投げるわね(コロコロ……)達成値23よ


GM:(コロコロ……)出目は良いが2足りない


ヒルダ:ダメージは30点「セイヤーッ!」


“妖艶魔将”ミグドノレシア:「うぐっ!ダメダメ死ぬ死ぬ死んじゃう!!」


ヒルダ:「そうかも知れないわね?」


ユスティーツェ:「――――――(瞑目)」


リファー:では念動の矢で。(コロコロ……)24です


GM:(コロコロ……)6ゾロじゃないよ


リファー:ダメージ24点。まあ生死判定振るなら死なないと思いますが


GM:振るよ(コロコロ……)うわっ出目11ってお前生き汚過ぎるだろ。では……


GM:絶射必中!ミグドノレシアの胸に矢が突き刺さり、とうとう彼女は倒れます


“妖艶魔将”ミグドノレシア:「嫌、いやぁ……こんなところで終わりたくない……」


ユスティーツェ:「────無様だな、女」


ヒルダ:「……そうね。誰だってそう。こんな所で終わりたくない。死にたくない……って、誰もが想うわ」


“妖艶魔将”ミグドノレシア:「ヒッ、ころさっ、殺さないで……!」


ヒルダ:「――――――それを、聞き届けた事があったのかしらね?貴方」


“妖艶魔将”ミグドノレシア:「うっ、うぅ……」ボロボロと涙を流す


ミミィ:「じゃあ、ここに至るまでの経緯を洗いざらい全部吐くかにゃ?」


“妖艶魔将”ミグドノレシア:「話す!話すわ!なんでもする!」


ミミィ:「いい心がけにゃ。近くに高位の神官はいるかにゃ?」


“妖艶魔将”ミグドノレシア:「し、神官?なんで?」


ユスティーツェ:ちょっと押し倒していいか。ハチャメチャに煽りたい


GM:えっ、あっはいどうぞ


ユスティーツェ:じゃあとりあえずビンタしますね


“妖艶魔将”ミグドノレシア:「あうっ!?」


ユスティーツェ:「格下だと侮り、牢に押し込めた男になすすべもなく組み伏せられている、無様だな」


“妖艶魔将”ミグドノレシア:「ひっ、な、何するつもり……!?」


リーゼロッテ:「おっ、お兄様……!?」赤面


ミミィ:「おっと坊ちゃん、男を見せるにゃ?」


ユスティーツェ:「このまま殴り殺すのもやぶさかではないが…………」


ユスティーツェ:「――――――お前が俺を生かした一夜、貴様にとっては遊戯だろうが多少の感謝はある。ああ、勿論皮肉だ」


“妖艶魔将”ミグドノレシア:「……」わけがわからずボロボロ泣いている


ユスティーツェ:「……そのまま無様に命乞いをして晒して這いずっていろ」


“妖艶魔将”ミグドノレシア:「へ……?」


ヒルダ:「逃がしは、しないけれどもね?」


ユスティーツェ:というわけで放置(種族の矜持折られて生き恥晒せカスという本人的には一番嫌な扱い)


GM:ん、なるほど了解


ミミィ:「お客様の中に神の試練を与えられる方はいらっしゃいませんかにゃー?」


リーゼロッテ:(スッと手を上げる)


ミミィ:いたにゃ


ヒルダ:というワケでクエスト、邪王軍に敵対して四王連合軍の勝利に貢献しろ、かしらね?


GM:OK、問題無いよ


“妖艶魔将”ミグドノレシア:「わかったわ……これからはあなた達に協力する。死にたくないしね……」


ミミィ:「首輪のない猛犬は飼えないからにゃ~」


リファー:「……期待していますよ、その言葉が真実だと」どっかで裏切って死ぬんちゃうかなと思っている


妖艶魔将ミグドノレシア:「折角生き残ったんだし、あの王子様を籠絡してやろうかしら……ってアイタタタ!?!?それもダメなの!?」


リーゼロッテ:「(痛がるミグドノレシアを見てニッコリ笑っている)(目が笑っていない)」


ヒルダ:「それじゃあ勝利に貢献出来ないものね?」


“妖艶魔将”ミグドノレシア:「うぅ~……じゃあ、アナタ達についていくわ。街に入る時は上手いことして隠れるからそのつもりで」コンジャあるので見た目はどうとでもなる


ヒルダ:魔将生存ルート見えてきたわね


ミミィ:現状全員生きてるにゃ


ユスティーツェ:生き恥晒したら死にたくならないのか?って天然で思ってるのですれ違いなんだよな


GM:割と天然入ってるよねお兄様


GM:さて、そんなこんなで妖艶魔将ミグドノレシアは討伐、確保され、早朝のトアランに光が指します。大公も無事でした。ミグドノレシアに籠絡されていただけで、本人はちゃんと生きてる


GM:守りの剣も無事奪還。再起動してミグドノレシアが動けなくなったりもしましたがまた別の話。というわけで清算!


***


今回の経験点は7040点。報酬金は21400ガメル。ミグドノレシアの加入によって、キャンペーンの結末があんなものになるとは、この時点では誰も思っていませんでした……では、また次回。

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