第111話 危険なものはしっかり手の届かないところに隠すべし
マシュマロを堪能した一行は、部屋に戻ってお風呂に入ることにした。
歩いたり火を囲んだりしたこともあって汗をかいていたから、上がった後はみんなスッキリした顔をしていた。
「じゃあ、今日は私が
そして訪れる就寝時間。ミクは満面の笑みで布団に入ると、隣へ横になった彼の手を握ってくる。
それを見ていた他2人は不満そうな顔を見せたが、体が疲れていることもあってすぐに眠ってしまった。
「おやすみ」
「おやすみなさい」
声はひとつだけしか返ってこなかったが、代わりに聞こえてくる穏やかな寝息に微笑みつつ、莉斗も目を閉じて夢の世界へと落ちていった。
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「……ん?」
真夜中、莉斗はガサゴソという音で目を覚ました。おぞましきGではない、布団の中でもがくような音だ。
「ミク、どうしたの?」
音の源は隣の布団。莉斗は心配になってめくってみると、ミクがお腹を押さえてうずくまっているではないか。
「だ、大丈夫?!」
慌てて近寄り、仰向けに寝かせようとすると、彼女の手から何かが転げ落ちた。
拾ってみるとそれはビンのような何か。目が慣れるにつれそこに書かれた文字が見えるようになり、同時に彼はミクが苦しんでいる理由に気が付いてしまう。
「の、飲んだの……?」
「はぁはぁ……莉斗ぉ……」
冷蔵庫に入っていた精力増強剤だ。パッと見だとリポ〇タンDに見えなくもないし、ジュースか何かと間違えて飲んだのかもしれない。
飴の件でこの危険さを身を持って知っている莉斗は、大慌てで水を取りに行こうとする。が、足を掴まれて転んでしまった。
「莉斗……熱いよ……」
「わ、わかった! 氷を持って―――――っ?!」
言い終える前に体にのしかかられ、そのままキスをされる。遠慮という言葉を知らないのかと思うほど、長く深い大人のキスだ。
「好き……莉斗、好きぃ」
「ミク、ちょ……んっ……」
今度は首筋に噛みつかれた。何度も位置を変えては歯型をつけられ、彼の中でとある瞬間から痛みが快感に切り替わってしまう。
「はぁはぁ……ミク、ダメだよ……」
「もうむり、がまんできにゃい……」
彼女の口の中に精力増強剤の成分が残っていたのかもしれない。時間が経つごとに莉斗の体も内側から熱を発し始めた。
下腹部がキュンキュンと締め付けられる。ミクの舌が耳たぶを舐めた時、その反応は最高潮に達して体が無意識に仰け反った。
初めての感覚に自分でも驚いていると、彼女は荒い息遣いのまま微笑むと、舐めるのを止めて甘い声で囁いてくる。
「今の、すごかったね♡」
薬のせいか限界を超えたせいか、莉斗がぼーっとする頭で『今夜も眠れそうにない』と思ったことは言うまでもない。
事実、一線を超えることは阻止したものの、2人は体が動かせなくなるほど疲弊する早朝までいやらしい音を立て続けていた。
「お兄ちゃんたち、すごい……」
密かにその様子を見て興奮していた者がいたことを知る人は誰もいない。
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