第65話 何事も選ぶならピシッときめるべし
ちょうど気持ちが昂ってきて、もう少しで最高潮になる―――――――というところで、何故か
「そろそろ行こっか」
「莉斗がいるなら、あの店に行くわよね」
そして到着したのが、いかにも暗黙の了解として男子禁制な女性用下着専門店だった。
「莉斗、どれが似合うと思う?」
「莉斗君、私に選んで欲しいなぁ」
2人から色んな柄の下着を見せられるものの、どこからともなく香ってくる甘い香りと、四方八方から放たれるイケナイオーラのせいでまともに返事ができない。
必死に「ただの布、ただの布」と自分に言い聞かせてみるが、特に効果はなく胸のドキドキは収まらない。
「……もう、莉斗ってば!」
彼が『どうして下着は吊り下がってるだけでエロく見えるのだろう』という世界の神秘について悩み始めた頃、ミクの声で正気に戻った。
危ない危ない、あともう少しでシタギーランドの入場料を払わされるところだったよ。
「デートしてるのよ? 下着くらい選んでくれてもいいじゃない」
「いや、服なら選べるけど下着は……」
「口じゃなくて頭を動かして」
「は、はい!」
ペシンとお尻を叩かれ、飛び跳ねるように並ぶ下着へと近づく莉斗。それでも彼が頭を抱えていると、横から彩音が小声で囁いてくれた。
莉斗君、想像して。学校から帰ってくると、ミクちゃんが部屋にいるってシチュエーションを。
ミクちゃんは頬を赤らめながら近付いてくると、唯斗君をベッドに押し倒して身動きを封じる。
彼女は頬を赤く染めながら、胸元のボタンを外して制服の胸元をはだけさせました。
「さて、ここで質問です」
彼女はにっこりと笑いながら下着を左から順に人差し指で撫でていくと、最後にこちらを見て聞いてくる。
「その時、莉斗君が一番興奮する下着は何ですか?」
その問いを聞いた瞬間、莉斗の頭の中にはっきりとストーリーが映像として流れ始める。
それが恐ろしいほど鮮明で、ただの妄想だと言うのに体が反応してしまいそうになるほどだった。
「ミクに着て欲しい下着……」
妄想の中のミクは胸のボタンを外し、そのたわわなブツを露わにして――――――――――。
「っ……これだ!」
そう口にしながら手に取った下着。それを見たミクは、少し驚いたように目を見開いてから、クスクスと笑い始めた。
「ふふ、こんな小さいの置いてあるのね」
笑ってしまうのも仕方ない。彼が選んだのは、普通の下着よりも布面積が5分の1ほどしかない、マイクロとまでは行かないもののかなり際どい下着だったから。
「どうしてこれがいいの?」
「み、ミクって真面目だから。学校でこういうの着てたんだって思ったら……」
「……もう、変態」
ミクは恥ずかしそうに顔を背けながら、受け取った下着を元の場所へと戻してしまう。
その様子に莉斗が落胆していると、彼女は「ここでは恥ずかしいから、今度ネットで買ってあげる」と囁いてくれた。
「……楽しみにしてるね?」
「……期待してて」
何とも言えない空気感の2人に、さすがの彩音も邪魔することが出来なかったそうな。
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