第124話<怒り>


セトが右手を上げると、其の手は食虫植物の様な触手に変わり。


守ろうとしている自分を無視して、エミリに襲い掛かる。


透かさず炎を吐き応戦、触手は下がりセトの手に戻る。


予想の範囲内なのか、セトのニヤついた表情は変わらず。


戻った右手を何度か握り、感覚を確認している。


守ろうとしている自分を無視して、エミリを襲うのも。


人の命を奪おうとしている時に

、相変わらず馬鹿にした表情のままなのも全てが腹立たしい。


其のおかげと云いたくはないが、恐怖よりも怒りの感情が上回り。


呼応する様に、自分の炎が燃えたぎるのを感じる。


絶対に負けられない。

気持ちを抑え、冷静にならなくては。


炎を受け手を戻した事から考えると、ダメージは受けては無さそうだが攻撃が効かない訳では無いだろう。


見るからに土属性のコイツと炎属性の自分、敵対属性としては悪くはない。


問題はコイツの使う毒液と、今も蔓延している毒霧だ。


コイツが人間だった時は毒液にやられたが、今回は毒霧のせいで長期戦も選択出来ない。


そんな事を考えていると、再びセトが右手の触手でエミリを襲う。


追い返そうとして再度炎を吐くが、動きを止めた触手の口が開き。


其所から出て来た毒液が炎を消し、嘲笑うかの様にセトの手に戻る。

実際に表情は、薄気味悪く笑っていた。


殺そうと思えば何時でも殺せる。


敢えて戻した手が、そう言わんばかりのパフォーマンスだった。


見上げて睨む自分を見て、セトは声を上げて笑い楽しんでいる。


どれだけ冷静で居ようとしても、怒りで腸が煮えくり返るとは此の事だろう。


止まらない怒りが炎に変わり、自分を大きく覆い。


其れと同時に、小鳥位だった姿が鷹の様に大きく変わるのだった。

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