第5話 クリスマスケーキ

 クリスマスケーキ。

 定番なのは、やはり生クリームタイプのクリスマスケーキだろう!

 日本では、クリスマスイブにクリスマスケーキを食べる事が多い。


 私の家では普段からケーキを食べる習慣が無く、ケーキが食べられるのは、兄妹きょうだいの誕生日とクリスマスイブ位だった……

 そのためか毎年、クリスマスイブを非常に楽しみに待っていた。クリスマスプレゼントよりもだ!


 クリスマスケーキと言っても親が買って来るのは、お菓子屋さんで買って来るのでは無く、スーパーの特設コーナーで売っている、大手製パン業者が製造しているクリスマスケーキだ。


 幼少の頃は知らなかったが、製パン業者等が作っているクリスマスケーキの殆どは、事前に作られいて、出荷まで冷凍保存されていたケーキなのだ。それも数ヶ月前から作られるらしい……。クリスマス前にとどこおりなく大量出荷するためで有る。

 スーパー等で買ってくる時は、もう解凍されているので、見た目は普通のクリスマスケーキなのだが、不味いと感じることは無く普通に美味しかった。冷凍技術の発展は素晴らしいと感じた。


 今思えば、何故、イチゴがケーキに乗っておらず、別添べってんなんだろうと不思議に感じたが、それが冷凍ケーキの証拠だったのかも知れない。イチゴは冷凍出来るが、冷凍すると生食本来の食感が失われてしまうからだ。


 クリスマスケーキの楽しみは誕生日ケーキには無い、カラフルな飾りが乗っていることだ。

 定番のチョコプレート。食べられるサンタさんやその小物。プラスチックだが、もみの木……。クリスマスケーキを見ると一気にテンションが上がる。誕生日ケーキとはまた違った喜びが有った。


 しかし、メインのケーキの方は、装飾にお金が掛けられている所為か、飾りを全部取ってしまうと、生クリームのホールケーキに成ってしまう。

 切り分けて、イチゴを乗せたら、クリスマスケーキからショートケーキにランクが下がってしまう!?


 クリスマスケーキは箱から取り出して、テーブルに置き、ろうそくに火を付けた瞬間が最高調なのかも知れない……


 さて…ケーキのお味は、普通のショートケーキの味で有る。

 生クリームのコクとスポンジケーキの甘さが口に広がる……

 私は、生クリームのケーキが一番好きで有る。


 しかし、クリスマスケーキのイチゴは何故か、毎年甘さよりも酸味が強かった。

 冬の時期のイチゴは当然、施設(ハウス)栽培になるのだが、それでもクリスマスケーキのイチゴの酸味は強かった。


 ケーキ自体の甘さで、イチゴの甘さが感じにくく成るのは仕方が無いが、これはケーキの美味しさを引き立てるために、酸味の強いイチゴを使用しているのか、それとも別の事情が有るかも知れない……


 豪華なケーキだと、スポンジとスポンジの間に、たっぷりの生クリームとフルーツが挟んで有るはずだが、クリスマスケーキの場合は、薄い生クリーム層に申し訳ない程度の黄桃おうとうやパイナップルの細かいフルーツが挟んで有るだけである。そのフルーツも恐らく缶詰品だろう……


 それでも、クリスマスケーキは毎年の楽しみだった!

 メーカー製のケーキでも毎年食べられたのは嬉しかった!!


 1回だけだが私が頼み込んで、お菓子屋さんのクリスマスケーキをクリスマスイブに買って貰ったが、製パン業者のケーキと比べて割高なのに、ケーキの直径が小さくて、飾り物も少なかった……


 味はもちろん、お菓子屋さんのケーキの方が美味しかったが、子どもだった私は『質より量』を選んでしまった。お腹一杯にケーキを食べたかったので有る。その翌年からはまた、製パン業者のケーキに戻ってしまった……


 学校給食でも有る年から急に、クリスマスケーキ(実際はショートケーキ)が出されるように成った。事前にだが、何種類からのケーキを選ぶ事が出来る年も有った。

 クリスマスの時期は、ケーキが沢山食べられる時期でも有った!



 この時期に成ると、クリスマスケーキを思い描いてしまう。

 家族と食べたケーキの思い出や、地区のつどいのクリスマス会で食べた思い出。給食で出されたクリスマスケーキが、私の脳裏に思い出される。

 

 今年はどんなクリスマスケーキに成るのだろうか…?

 贅沢なケーキにするか、お値段の事を考えて製パン業者のケーキにするか……

 私にとってのクリスマスは、人の交わりより、クリスマスケーキの方が大事なので有った!


 第5話 おわり

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