第3話 インテリア同好会 其の一
ガチャ、ガラガラ。
神崎は、久しぶりに部室を開けて中の扇風機を全開で回した。
「暑い。やばい。」
「何ヶ月ぶりだろ。いや、1ヶ月しか経ってないな...掃除でもしよ。」
ほうきで叩くと少しばかり埃が舞った。
ガラガラ。
「神崎お疲れー。うわ、なんか煙くない?」
「久しぶりの部室掃除してんだよ。さすがはインテリア同好会部長だな。」
「自分で言わなかったら褒めてたわ。」
吉原は笑いながらそう言って、神崎の掃除に参加した。
ここ、旧校舎西棟の三階に、昔は物理室だったらしく今は使われていない教室があった。二人は、ここをインテリア同好会の部室として使うことを決めた。
お気づきの人はいるかもしれないが、インテリア同好会はこの2人によって作られ、かつこの2人しか部員がいないのだ。
「おいちょっと待て。この同好会には、実はもう1人隠れ部員がいるということを忘れるなよナレーター。」
どこから突っ込んでいるのだか。まあこの通り、このインテリア同好会にはもう1人隠れ部員がいるが、それはまた後ほど。
「やっと掃除終わったな。よし、早速インテリア研究始めるか。」
「前回どこまで進めた、覚えてる?吉原。」
「えーとね、玄関とキッチンの内装が一通り終わって、リビングルーム周りの壁紙を決めて終わったよね。」
「そうそう、思い出した。じゃー今日は、リビングルーム周りの内装と飾り棚を決めて、リビングに飾る小物も玄関とキッチンに合わせないとな。」
「今回は全体的に落ち着いたデザインにするんだったよな?」
「そう。吉原的に見るともっと暗くした方がいい?」
「いや、このままでいいと思うよ。カジュアルさも十分伝わってくるし。」
こんな風に、インテリア同好会は自分たちの部室で各部屋のデザインを決めて、2人が学校から許可をもらっている空き家を使って、実際に作っているのだ。
大体は2人とも空き家で同好会をやっているので、学校で活動を行うインテリア同好会は1ヶ月に1回あるかないか程なのだ。
「そういえば神崎、お前国語の時間、里長に呼び出されてなかった?放課後こいって。」
一瞬辺りが凍りついた。
「ごめん、吉原。ちょっとここで待ってて。そんで、必ず生きて帰るから。」
そういった瞬間、神崎は全力疾走で部室を抜けて職員室に駆けていった。
「ありゃ、帰ってきた時はズタボロだな。いいデザイン作って慰めてやるか。」
そして、吉原はデザインの続きを作り始めたのであった。
高校生の『日常』探し探検隊 三毛猫 @21220036195298944
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