昔話のつづき
なか
序章
とある一つの世界
青い空の下に広がる大地。
豊かな自然に溢れる地上には一つの国があった。
王が治めるその国には、一つの国として成るまでに長きにわたる混乱があったが、もはやそれは遥か昔の出来事。
人々の記憶から忘れ去られ、史実と物語との区別がし難くなるほど時が経っていた。
史実として語り継がれてきたはずの事が、いつの間にか空想の物語として知られるようになった話はいくつもある。
例えば、昔の人々は身の回りに溢れる自然に感謝を捧げ、その自然の恵みの力を駆使して豊かな暮らしを営んでいたと言う話は物語としてはよく知られたものである。
今ある自然の恩恵とは想像もつかないような、或いはとても不思議な暮らしがそこにはあったが、今は誰もがその事を史実とは思いもしなければその痕跡すらない。
特に、光と闇の神が出てくる話は空想の物語だと誰もが疑わない。
話の中で語り継がれてきたはずの人々の悲しみも、苦しみも物語の中の要素でしかない。
当時の人々の思いを引き継ぐはずの史実が、時と共に摩耗し風化していく。
この話を、実際にあった出来事として捉えられる者がいるだろうか。
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