聖騎士になったけど団長のおっぱいが凄すぎて心が清められない
木の芽
特別短編(ネタバレあり・本編読後推奨)
Episode-Service おっぱいの日
◇時系列的には風俗街から帰ってきた後、マドカに襲われる前◇
◇昨日も本編更新しているので読んでいない人は前の話へGO!!◇
守護騎士団は魔物に対抗するため作られた組織だが、遠征回数はさほど多くない。
戦線を超えて魔族側に向かえば、より激しい戦闘は避けられないからである。食料や武器、遠征用具の備えも必要だし、ここ数年はこれといって成果をあげれていない。
騎士団長クラスでさえ死の可能性があるのが魔王軍幹部たち。
そんな奴を相手にして生還できた俺は奇跡だろう。
ちなみにリオン団長はこれまで遠征で何度も魔王軍幹部と対峙し、五体満足で帰還している強者である。
話によれば奴らにさえ認知されているので相当ヤバい。
とはいえ、基本的に俺たち団長、副団長の仕事は書類とのにらめっこだ。
今日も俺、リオン団長、補佐のマドカの三人で処理している。
それにしても実に今日は穏やかな気分だ。
早朝訓練でいい汗を流し、シャワーでスッキリした後、小鳥のさえずりをBGMに業務に励む。窓からは爽やかな風が流れ込み、とても和やかな空気で満ちていた。
「そういえば先輩は知っていますか?」
「ん? なにを?」
「私の胸のサイズが1センチ大きくなったの」
一気に優雅な雰囲気がぶち壊れた。
真昼間に雑談をする一言目のチョイスではない。
ほら、団長なんか驚きすぎて机に頭ぶつけちゃったじゃないか。
その衝撃で胸のボタンが俺の頬を掠めていって危なかったぞ。もう少し反応が遅れていたら目が潰れるところだった。
「どどどどうしたの、マドカちゃん?」
「いえ、今日は異国では『おっぱいの日』らしくて。せっかくですし胸の話でもしようかと」
「ヤバすぎるだろ、その国……」
「とはいっても我が家の蔵の古びた書物に記されていただけなので真実かどうかは知りませんが」
ところで、とマドカは話題を変える。
「先輩は気になりませんか? 私の胸が本当に大きくなったかどうか」
グッとシャツの首元に手をかけてマドカが尋ねてくる。
もちろん俺の答えはノーだ。
「ならないならない」
「嘘ですね。先ほどから目が語っていますよ」
「それこそありえない。俺はお前が身を乗り出した瞬間から目潰しをしているからな」
「何してるの!? ヒール! ヒール!」
横から飛んできた団長が後ろから俺の頭を包み込むように抱きしめて、回復魔法をかけてくれる。
ヒールの性質上、患部に触れないといけないのはわかる。
わかっているのだけど……! 団長……! 目元に手のひらを当てて抱きしめられたら後頭部に、その、おっぱいがですね……?
当たってしまって……たまりませんねぇ!
これは不可抗力ってやつだ。俺は悪くない。
だから、楽しんでもノーカン! 今だけはノーカン!
「くっ……さすがはリオン団長。さりげなくおっぱいアピールするとはやりますね……」
「ふぇっ!? ち、違うよ! そんなつもりじゃないから!」
「でも、かたくなに離しませんよね。やはり狙っているのではないですか?」
「だ、だって、マドカちゃんも前から近づいてるもん。私がルーガくんを守ってあげないと……」
「では、こういうのはどうでしょう?」
「……うん、うん……えぇっ!? そ、そんなことしちゃうの……?」
「はい……ガードが堅いルーガさんを堕とすには協力するしかありません」
今の俺は視界をふさがれているのでマドカが何をしようとしているのかわからない。
ただ団長とこしょこしょと小声で話をしているのはわかる。
なにを企んでいるのだろうか。
俺の理性が瀕死状態になること間違いなしというのは予測できる。
胸の感触が嬉しいのは嬉しいが、ベルトで締めた隊服のズボンがギチギチと音を立てている。
それはつまり眠っていた愛棒が起きようとしている証拠。
どうにか完全に起床するのだけは避けたい。
でも、団長のおっぱいは感じていたい。
だがしかし、【剣聖】になるためには欲を追い払わねば……!
おっぱい退散! おっぱい退散!
「だ、団長? もう目も問題ないので、業務に戻りましょうか」
「……ううん。まだ治ってないんじゃないかな……? そうだよね、マドカちゃん?」
「団長の言う通りです。ですので、先輩。今から私とリオン団長でスペシャルヒーリングをしてあげますね」
「は? いや、二人とも何を言って――」
――ぽふっと顔に柔らかな感触が当たった。
でも、視界は真っ暗で、呼吸をすれば甘い香りが鼻腔をくすぐる。
なのに、後頭部にもまだ団長のおっぱいがある。
……これはもしかしなくても……。
「ど、どうかな、ルーガくん。私とマドカちゃんのサンドイッチは……?」
「肉体的にも精神的にも癒す画期的な治療法です。きっと先輩もお気に召してくれると思います」
「もっと強くしたほうが良いかな……?」
「そうですね。では、ルーガ先輩。もっと私たちのおっぱいを楽しんでください」
両側から挟み込まれ、ぎゅっと密着する。
むぎゅむぎゅと柔らかいおっぱいを全身で堪能する。
前からはやんわりとした健康的な張りを味わい、後ろは身を預ければどこまでも沈み込んでしまう包容力を堪能する。
「ほら、ルーガ先輩。団長と後輩のスペシャルヒーリングですよ~」
「は、恥ずかしいけどルーガくんのためなら、私も頑張るからね」
あぁ……天国はここにあったのか。
普段なら絶対にありえない出来事だけど、今日だけはなぜか許される気がする。
……そうか。これがおっぱいの日……!
「おっぱいの日、最高ー!!」
両腕を突き上げて、体を起こす。
だが、周りにはおっぱいどころかリオン団長やマドカもいなかった。
「な、なにー!?」
そもそも執務室ですらなく、俺がいるのは宿舎の質素な自室。
「こ、これは……!?」
カーテンの隙間から優しい光が射し込み、その眩しさが俺に現実だと教えてくれる。
つまり、団長とマドカによるおっぱいサンドイッチなどは存在しなかったのだ。
「今まで見ていた素晴らしい景色は……!?」
ゆ、夢だったということか……。
ガクリと肩を落とす。
なんだか前にも似たことがあったような……そ、そうだ! 夢精は……よかった。していなかった……。
していないだけで、我が息子は元気満々だったが。
「ははっ……今日も耐えてくれてありがとうな、愛棒」
今日も今日とて禁欲生活。
なんだか懐かしさを感じる。
風俗街・ガリアナから帰ってきて、いつもの日常が戻ってきたって感じだ。
「……さて。とりあえずは……」
朝の素振りをして煩悩退散しようか。
こうして今日もまたルーガ・アルディカの一日が始まるのであった。
◇8月1日:おっぱいの日、特別記念SSです。
次話投稿の際に第一話の前へと移動しますので、ご了承ください
連日投稿頑張ったご褒美に空から巨乳黒髪美少女降ってこないかな……◇
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