第3話 アイドル刑事《デカ》

 飯沼勝利には鉄壁なアリバイがあったからだ。



 被害者の由香里の死亡推定時刻には容疑者の彼は他の場所にいたのだ。

 その事は、すでに確認が取れている。



 最も動機があって怪しい容疑者だったが、確固たるアリバイが有っては対象外にするしかない。



 次に怪しいのは飯沼勝利の不倫相手の女子大学生、木崎マリアだが、彼女も当日のアリバイは完璧だ。

 絶対に犯行は不可能だった。




 しかしアイアイは、容赦なく容疑者の飯沼勝利を挑発していく。



「もう一度、言って上げましょうか!!」

 名探偵のように笑みを浮かべ、高らかに宣告した。



「な、何をだよ……」

 かすかに容疑者の顔が引きつって見える。



「真犯人は、!!」

 まるでアイドルの決めポーズのようにクルクルと舞った後、また容疑者の飯沼勝利を指差した。



「ぬうゥ……!! ふッ、ふざけるな!!

 どこの売れねえェアイドルだ!! お前は!! 変な恰好しやがってェ……!!」

 飯沼勝利は怒鳴りつけた。


「ううゥン……」オレも腕組みをしたまま唸った。

 確かに、飯沼勝利カレの言うとおりだ。



 明らかに事件を捜査するには可笑しな恰好をしている。

 目に鮮やかなショッキングイエローのコスチュームをまとっていた。




 まさにアイドル刑事デカと言ったトコロだろうか。






 


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