海の王から海を賜わるかわりに、海を見守り、時に海を手入れする役目を負ったという昔話が残る村。少女クロエは、ある日村長に請われ、海辺の館へ送り込まれます。貴族の別荘のようなその館に住んでいたのは、ドーファサーシュという孤独な少年。館へ通ううちに、クロエはドーファと徐々に心を通わせ、ついには彼と恋に落ちます。ドーファと共に生きることを決めたクロエは、その意志を大人たちに伝え、そして……。ラストまで読み終えて、私はうめきました。残酷で切ないお伽話を思い出す物語です。