第60話部長とお弁当と人生の墓場
カタカタカタ…タン!
アレだよね、文章打った後の最後に押すエンターって絶対強く押しちゃうよね。
「和泉くーん」
えーっと、次はなんの書類をまとめないといけないんだったか。
「和泉くーん?」
あぁ、そうだ。伊藤建設の木材の発注だったかな。
「和泉ちゃーん!」
確か材木は…そうだ。檜を使うとか言ってたな。
「い、ず、み…きゅん!」
と、俺の耳元で先程から騒いでいる人物を睨むように見た。
「ちっ…なんですか、部長。口じゃなくて手を動かしてください」
「…最近皆部長に辛辣すぎない?」
そう、俺は今部長と肩を並べて仕事をしていたのだ。
「そりゃそうですよ。誰のせいでこんなに忙しいと思ってるんですか」
「…だって皆が仕事くれるんだもん」
「だもんっていい歳したじじいが何言ってんですか?」
「え、泣くよ?部長泣いちゃうよ?」
「あー、はいはい。それでどうかしたんですか?」
「あ、そうそう!和泉くん。時計を見たまえよ」
そう言われ俺は腕時計を見た。
「…13時ですね」
「そうなのだよ!お昼ご飯の時間を1時間も過ぎてしまっている。先程から部長のお腹はなりっぱなしさ」
「……」
「それにね?お腹が空くということは血糖値が下がって物事に集中しずらくなるのだよ。そうなるとパフォーマンスが下がり失敗を招いてしまう」
「…それで?」
「ご飯が食べたいです!」
「…はぁ」
「それに今日は娘が初めてお弁当を作ってくれたから楽しみで楽しみで…」
そう言い部長はカバンからピンクの風呂敷に包まれた箱を取り出した。
「見たまえ和泉くん…娘の力作を!」
そう言い部長は弁当箱を開けた。
「おぉ…」
そのお弁当は初めてにしてはしっかりと作られており、少し茶色が多いかな…と思うが中々に美味しそうだった。
「…ぐす…子供の成長は早いものだなぁ」
と、感動に浸っている部長を見ていると…
「和泉くんはお弁当では無いのかな?」
と、聞かれた。
「今日はお弁当ですよ」
「おぉ!それなら一緒に食べようではないか!」
「…分かりました。確かに俺もお腹が空きましたからね」
そう言い俺は青の風呂敷に包まれたお弁当箱を取り出した。
そして中を開けると彩りよくかつ、俺の好物が詰まっている中身が姿を表した。
「おぉ…!こ、これは本格的なお弁当だな。和泉くんが作ったのかい?」
「いえ…作ってもらったんですよ」
「ほぉ?まさか…恋人にかな?」
「い、いえ…恋人と言うわけでは…」
「はい!ここに第1回部長と恋バナトークを始めます!」
なんか始まった。
「まず質問です!作ってくれたのは誰ですか?」
「え…えと、お隣さんです」
「ほぉほぉ!ちなみに何歳ですか?」
「20歳ですね」
「…なに?それは学生さんかな?」
「はい、大学生ですね」
「…可愛いのかい?」
「控えめに言っても可愛いですね。少し天然が入っている所も良いです」
「は?可愛くて、天然だと?…和泉、アニメの見すぎではないか?なんだ、疲れてるのか?」
と、部長は疑いの目を向けてきた。
「いや…本当にお隣さんに居るんですよ」
「…部長は信じないぞ?そんな娘がいる訳が無いだろ」
と、話していると…
「真琴〜、飯食おうぜって…部長?」
清水がパンと珈琲牛乳を片手にやってきた。
「おぉ!清水くん!聞いてくれた前よ、和泉がなおかしな事を言っているんだよ」
「おかしなこと?」
「あぁ。和泉の弁当を作ってくれた人を聞いていたんだが…可愛くて、天然で大学生で20歳の娘が作ってくれたとか言っているんだよ。清水くんからも何か言ってあげてくれ」
それを聞いた清水はあっけらかんと答えた。
「あ、それ本当ですよ?そこに面倒見が良くて、掃除洗濯何でもござれの清楚系って言うオプションが付きますけどね」
「な、なんだと…?」
「な、真琴」
「あ、あぁ…」
と、俺が答えた瞬間…
「嘘だ!」
と、某アニメ風に部長が言い放った。
「嘘だ、嘘だ、嘘だ!そんな完璧な女の子が居るとでも言うのか!この世界に!私の嫁は最近部長に掃除しろとかご飯も自分で作ってとか邪険に扱ってくるのに対して…和泉には…和泉には…!信じないぞ!」
と、目の敵のような目を向けてきた。
「あ、写真ありますよ」
と、清水が言った瞬間部長の目がギョロと動き清水を見た。
「…なに?」
「この前海に遊びに行った時に写真を撮ったんですよ。ちょっと待っててくださいね」
そう言い清水が自分のスマホを取り出した1枚の写真を部長に見せた。
その写真には花音と綾瀬さんが笑顔でピースしている写真だった。
そしてそれを見た部長はプルプル震え始めた。
「…ちなみにどちらがお弁当を作ってくれたのかね?」
「あ、こっちっす」
「…帰る」
「え?」
「部長はこの世に絶望しました…」
そう言い力なくフラフラと部長は歩き始めた。
「あ、ちょ!部長!」
「…何かね?リア充の和泉くん?」
「リア充って…ほら、娘さんのお弁当置いたままですよ?」
「…そうだよ。部長には娘が居るじゃないか!うっうぅ…!」
今度は泣き始めた…。
と、思ったらいきなり俺の肩を掴んでだと思ったら…
「和泉…先人からのありがたいお言葉を聞くんだ」
と、言ってきた。
「は、はい?」
「結婚とは…人生の墓場だ。気をつけたまえ…女は歳を重ねる毎に変わる。初めは可愛く優しくても…あとがどうなるかは分からない。だから、今を楽しく生きるんだぞ…」
そう言い部長はお弁箱を持って自分の席に戻って行ったのだった。
「な、なんなんだ?」
「さぁ?それよりご飯食べよーぜ」
「お、おう…」
突然の事でよく分からないが俺と清水はお昼ご飯を済ませるのだった。
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皆様!おはこんばんにちわ!
青の空です!
今回は閑話的な奴ですね。
少し部長が可愛そうですが…まぁ、部長ですし大丈夫でしょう。
さて、なんで今回この話になったのかというと職場の先輩に『結婚は人生の墓場』と言われたからです。青の空は結婚とかまだまだ考えられない歳ですが…皆様の中に結婚して墓場になってる人はいるのでしょうか?
閑話休題
はい!嬉しいことにまた☆が沢山増えておりました!
☆をくれた…
@yugo20 さん
@haruharu2004160707 さん
@sousouz さん
@poppo18 さん
夏実莉 さん
@manchester さん
瀬田側宇治川淀川 さん
本当にありがとうございます!!!
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