第9話水瀬さんは天然さん

さて、あの後俺と水瀬さんは帰りの途中にあるスーパーに寄りこれから作る料理の材料を買った。

もちろん全額俺が払った。

けど、水瀬さんは最後まで私も払うと言っていたが作るのは彼女なのだ。だから、人件費はしっかりと払わなければならない。


「もぅ…和泉さんは強情さんですね」


と、軽く頬を膨らませている水瀬さんは怒ってるんだぞ!アピールをしているつもりなのだろうが全然怖くない。

むしろリスを見ているような…うん。可愛いしか言えない。


「ははっ…こればかりは性分なんです。働いたらしっかりと払うものは払う。今回は水瀬さんが作ってくれるのですから我慢して頂けると助かります…」


「むぅ〜…はぁ、分かりました。今回はそういうことで手を打ちましょう」


と、彼女は少し呆れたような、しょうがない人を見るような目で見てきたが、どうやら許してくれるらしい。


そして段々と家が近づいてくると水瀬さんは歩みを止め俺に質問してきた。


「料理を作るのは私の家にしますか?それとも和泉さんの家にしますか?」


と、聞いてきたので俺は答える。


「水瀬さんが大丈夫でしたら俺の家で作っても大丈夫ですよ」


「本当ですか!良かったです…」


「ん?良かった?」


俺がそう聞くとワタワタとしながら水瀬さんは答えた。


「えっと、その…お恥ずかしながらまだ荷解きが終わってないものがありまして。ダンボールが積み重なってるんですよ…えへへ」


「そうだったんですね。こちらこそすみません変に聞いてしまいまして」


「いえ、そんな事はないですよ」


「いえ、こちらこそ…」


と、言っているうちにお互い可笑しくなりお互い笑ってしまった。


「ふふっ…なんか、面白いですね」


「ですね。どうしますか、そのまま部屋に来ますか?」


「ん〜…1度着替えてきます。そ、れ、に!」


と、水瀬さんは人差し指をピン!と立て…


「おばあちゃん秘伝の調味料があるんです!あれを使うととっても美味しく作れるんです!」


と、言った。


「へぇ…秘伝の調味料ですか。今から楽しみです」


「はい!楽しみにしてて下さい!」


そしてお互い家に着き別れた。

そして俺はテレビを見ながら水瀬さんを待っていると玄関を開け水瀬さんがエプロン姿で登場した。

まぁ、さっき準備が出来たら勝手に入っていいと俺が言ったからであるが。


「お待たせしました。早速始めましょうか!」


「えぇ。よろしくお願いします」


「はい、腕によりをかけて作りますよ」


そういい彼女は手を洗ったあと早速調理を開始した。


俺は少し気になりその様子を眺めていると水瀬さんはそれに気づいたのか俺に向かって手招きをした。


「気になるんでしたら見学しますか?」


「いいんですか?」


「えぇ。大丈夫ですよ」


俺は水瀬さんに許可を貰い見学する事にした。


「ふふっ…まずは、フォークでこの鶏肉を刺して…」


彼女の手際はとてもよくプロ顔負けの包丁捌きであった。

そして切った鶏肉をジップロックに入れてある物を水瀬さんが持ってきていたカゴから取り出した。


「それは…?」


俺がそう聞くと水瀬さんはニコッとしながら教えてくれた。


「これがおばあちゃん秘伝の調味料…ニンニク醤油です!」


「ニンニク醤油…?」


俺は初めて聞く醤油の名前に首を傾げた。


「はい。作り方はとっても簡単です。醤油にニンニクを漬け込んで作るのですが…この秘伝の醤油はおばあちゃんが若い頃から作っていたものを継ぎ足していったものでかなり熟成されているんです」


「へぇ…それは凄いですね」


そうしてお肉に味が着くまで待っている間に俺は気になっていたことを聞いてみた。


「あの…水瀬さんって人見知りしないのか…と、言うか異性と2人でも平気なんですか?」


この質問に特に下心は無い。

ただ、昨日は緊急事態だった為家とかに入れるとは思うが…こうして普通に異性と2人っきり、しかもお互いのことをほとんど知らない状態なのに。


それを聞いた水瀬さんは軽く首を傾げ答えた。


「う〜ん…私としては普通のことなんですよね」


と、答えた。


「え…?」


「あのですね、先程も言ったと思うのですが私の家、実家は田舎にあるんです。だから、皆が自由に他の人の家で遊んだり、泊まったり。そんな姿を幼少期から見てたのでいつの間にか私もこうなってしまったんです」


と、冷えた麦茶を飲みながら教えてくれる水瀬さんだが、肝心な事が抜けている。


「でも、俺は水瀬さんの故郷の人では無いですよ?危ないとは思わないのですか?」


うん。凄い今更な気がするが…気になったものはしょうがないじゃん。


それを聞いた水瀬さんはキョトンとした顔をした。


「え…?和泉さんは良い人ですよ?それにおばあちゃんが言ってました!皆と仲良くするんだよって!」


と、純新無垢な眼差しを向けられ俺は目を瞑った。


「そ、そうですか…その純粋さが羨ましいです」


うん。多分俺は穢れていたのだ。

邪な考えは無かったが彼女と比べたら…


「えへへ…でもですね、こっちに来る前に故郷の皆が言ってたんです。『都会は危ない人が多い特に男には近づくな』って。何故でしょう?」


俺はその言葉を聞いて納得した。


この子、天然だと。

それも話を聞く限り自然豊かな所で育ち周りの人はいい人ばかり、犯罪も内容で平和そのもの。

そしてみんなから可愛がられこんなに純新無垢に育った彼女はそう。

大自然が生み出した天然記念物なのだと。


それを裏付けるように彼女は続ける。


「しかも、男は狼だ〜とか。もう、皆面白いですよね〜」


「そう、ですね…」


無理だ。俺にはこの子を汚せない…!

誰でもいい!水瀬さんに常識を、いや。

危機管理能力を授けてくれ!


と、俺は心の底からそう願うのであった。



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皆さん!おはこんばんにちは!

青の空です!


…ちょっと恐怖を感じております。


軽く確認してみたら今日現時点で1017PV。

合計1468PVになりました。


そして星の数

今朝が☆28

現在 ☆49


21個増えてるんですけど!?


本当にありがとうございます!!!


そしてその☆を下さった


@yoshi8532 さん

@Ranatana さん

@nakko1003 さん

@JetSchwarz さん

@hero1962 さん

mijazuki さん

@imrannajmi さん


本当にありがとうございます!

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