セカンドイノベーション

第1話 セカンドイノベーション

『セカンドイノベーション』、それは死の世界の中の少し特別な場所。ここは俺のような、十代で人生に突然終わりを告げられたものにだけ入学を許された、いわば学校だ。


 俺はみちる。四年前ここへ来た。原因は分からない。ここに来る者の共通点は、十代であることと、生きていたころのの記憶がない事だ。そして、ここに来た者にはある事が許されている。生命の輪廻、「転生」だ。

ただし、それには条件がある。それはいたってシンプルで、半年に一度開催される大司祭とかいう奴からの「ミッション」に参加して、それをクリアする事。ただそれだけだ。参加条件もあるにはあるが、「メダル」を五つ集めればそれでいい。メダルの獲得方法はごく単純で、『セカンドイノベーション』で行われる授業、通称「ステージ」の中で、自分の得意分野で優秀な成績を残せばいい。そして、俺たちはそのメダルの事を「イノベーション」と呼んでいる。


 この世界に来て四年。ここには不思議なことがいくつかある。まず、ここにいる生徒の全てが十代であること。そして、その全員に生きていたころの記憶がないこと。でも、残っている記憶もある。「礼儀」や「学習」だ。だから、俺たちは話すことはもちろん、読み書きもできるし、学園内には上下関係だってある。

そして、ここにいる生徒全員の目指すところ。それが、「転生」だ。そこを目指すようにと「入学した日」、つまり「死んだ日」に学園側から洗脳を受ける。実際は洗脳なんかじゃないけど、薄暗い部屋で学園の仕組みと「転生」がどれほど素晴らしいものかと延々と語られれば、洗脳と捉えても仕方ないと思う。

 とにかく、ここにいる全員が「転生」を目指し、戦っている。俺以外は…。

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