せめて私のたわ言が独り言でなくなればいい

@skoltarmy

第1話 心の叫び

「中国がアメリカに宣戦布告しました」


 そんなニュースがもし流れたら、あなたはどうしますか。もちろん、”仮に”の話です。あなたが住んでいる国は、戦争に巻き込まれると思いますか。

 人は信じたくないことは本当か嘘かに関係なく信じない生き物なので、こうして戦争が起こることを仮定することすら、あなたにとっては、意味のわからないことかもしれません。



 でも考えてみて欲しいのです。少し私自身の経験から話をしましょう。



 自動車の免許の講習を受けると、「”かもしれない運転”をしましょう」と習います。交差点であの車が突然右折してくる”かもしれない”。死角から突然、歩行者が現れる”かもしれない”。

 それに対して、戦争に関して私がかつて学校で習ったのは、「二度と戦争を起こしてはならない」「平和が一番である」というただの確認です。それは、「二度と事故を起こしてはいけない」「事故を起こさないのが一番だ」と言っているだけの行為です。そう唱えるだけで、事故を起こさないで済むのであれば、私は毎日、それを唱えながら運転するでしょう。そう唱えるだけで、戦争がなくなるなら、既に歴史上から戦争は消えているでしょう。注意していても、事故は起こるのです。それとも戦争はそういうものとは別のものなのでしょうか。

 どうすれば戦争が起きないか。戦争を起こさないためには、どうすればいいか。どのような状況で戦争が起きるのか。平和とはどういう状態なのか。そして、戦争が起きたときにどう行動するか。そういうことについて議論を交わすべきではないでしょうか。



 もし、あなたの国が戦争自体には関わらないとしても、例えば、あなたが毎日当たり前のように食べている食べ物はきちんと供給されると思いますか。食糧危機とは、あなたとは全く関係のない遠い世界の出来事ですか。知らない間にあなたに忍び寄っている可能性があることはありませんか。あなたは自分の国の食糧自給率を知っていますか。あなたは国産の野菜に使われている肥料の何割が輸入に頼っているか知っていますか。あなたは農産物の種子や苗の何割が国産のものを使っているか知っていますか。あなたは普段口にしている国産の畜産物の餌のどれだけの割合が輸入に頼っているか知っていますか。そもそも食糧自給率がどのように計算されているかを知っていますか。その数値は本当に自給率として扱ってもいいものでしょうか。



 私たちはコロナウイルスという世界的な脅威を経験しました。あなたの国はそれにどのように対応したでしょうか。水滸伝の世界を現実にしたような汚職や不正をただただ見せつけられたりはしませんでしたか。

 もし新たな世界的な脅威が現れた時に、あなたの国の対応をあなたは信頼できますか。今回の脅威があなたに大きな影響を与えなかったとしても、次の脅威が次はあなたの命を脅かさないとは限りません。それでも、あなたは現状の維持を望みますか。それとも、何か変化を起こしたいと思いますか。



 あなたは民主主義を知っていますか。民主主義とは、ただ与えられた選択肢の中から、消極的に誰かを選び出すような考え方ですか。それとも、自分で選択肢を作り出すことができる思想のことでしょうか。たとえ学がなくても、積極的にデモをして、自分たちの主張を訴えることは良くないことでしょうか。アメリカの大統領選挙を見て、あなたは何を感じましたか。憲法で国民主権を保障されている国で、あなたは主権を確かに持っていると言えますか。



 「私には何もできない」「私が何かしようとしても変わらないだろう」



 あなたはこう思うかもしれません。もちろん変わりません。行動しない限り。何かを変えたいと思った時に、取れる選択肢は、自分で変えるか、自分が変わるか、しかありません。変わって欲しいと願っても、勝手に叶うようにはこの世界はできていません。私はそれを知っていて、それでいて何もできないでいる人間の一人です。



 それでも、私は何かを変えたいと思い、ここに私が自分にいつも問うてることを記しました。



 与えられた選択肢を選ぶように生きてきた人間は、私を含め、私の周りにもたくさんいます。


「この国は、決められたレールを一度外れたら終わりだから」


 これは、私の友人が言っていた言葉です。そして、私が最も嫌いな言葉です。まるで自分の道を自分で狭める為の呪いです。それでいて、私自身、客観的にみれば、決められたレールの上を歩いている気がします。普通に学校に行き、普通に企業に就職して。



 けれど、私は思うのです。

 私は、海図のない海を航行したい、と。レールを外れても、そこに自分でレールを敷けばいいじゃないか、と。敷かれたレールだろうと、それが目では見えないほど遠くまで続いているのを見ていると、わくわくするじゃないか、と。実際、レールの先だって、無限に枝分かれしているはずなのです。そう見えないのは、下を向いているからではないか、と。

 私は下を向いて、毎晩スクリーンに向かって、異世界という桃源郷に思いを馳せるのではなく、現実でこそ夢を叶えたい。そのために、人を動かす文章を書きたい。人が自由に夢を叶えられるような社会が欲しい。



 もし、あなたがこの文章に何か感じたならば、声をあげて欲しいです。行動を起こして欲しいです。理不尽に抵抗して欲しいです。不満を口に出して欲しいです。そして、この、田舎で燻っている私に力を分けて欲しいです。こんなにも世を憂いているのに、平凡な人生を歩んだままでいる私に。


 そして、あなたがあなた自身を取り巻く不満に抵抗するだけの力を与えたい。



”Elle n'est pas seule!” 「彼女は孤独ではない」

                   ...........シャルル・ド・ゴール




 






 

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

せめて私のたわ言が独り言でなくなればいい @skoltarmy

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

カクヨムを、もっと楽しもう

この小説のおすすめレビューを見る

この小説のタグ