第150話 これは作業ゲーか?
こうして、扉の奥へと潜入したアキヒサたちだったが。
ドガァン!
入ってしばらく歩いたところで、駆け出したレイがなにかを蹴飛ばしたと思ったら、あのガーディアンとかいうゴーレムを二体引きずってきた。
なるほど、入ってすぐにこれならば、扉が開けっ放しのところにレイが入っていくはずである。
普通に危ないので、開けっ放しにしていたアキヒサが悪かったし、レイには「よくやった」と褒めなければならないだろう。
「レイ、ありがとうなぁ~」
アキヒサが髪をぐしゃぐしゃとかき混ぜながら頭を撫でると、レイは「ん!」とちょっと自慢そうに胸を反らした。
ちなみに、シロはアキヒサの服の中に避難中である。
教会に留守番させてもよかったのだけれども、知らない人間の中に置いて行かれることも怖かったらしく、この状態で落ち着いたのだ。
「クゥン?」
それでもガーディアンが気になるのか、アキヒサの襟元から飛び出てガーディアンの臭いをフンフン嗅いで、ボフッ! と小さな吹雪を吐きかけると、またアキヒサの服の中に戻った。
このミニ吹雪も攻撃判定に入れば、シロにも経験値が入るわけで、幼獣ながらも賢い。
――僕も、ちょっと蹴っとこうかな。
幼児に寄生プレイしていると言われようが、レベル上げは命につながる重要事項なのだ。
それにしても、この倒した後のガーディアンはどうしようか?
「なあリュウさん、これって放置していていいのか?」
尋ねるアキヒサに、リュウが首を横に振る。
「いや、回収した方がいいな。
機能停止したガーディアンは放置しておくと、自然に分解して再構築されるからな」
そんな風に解説されたが、なんだろうかその、ゲームのリポップみたいな仕様は?
そしてアキヒサのカバンの中に入れると時間が止まるため、ガーディアン復活も止まるとのことだ。
というわけで、分解が始まる前にさっさと回収だ。
ちなみに、レイが教会まで持って帰ったガーディアンも、すでにカバンに収納済である。
そんなわけで、レイが倒してアキヒサが回収するという行為が作業と化していく。
「……」
途中、レイがジト目でリュウを見上げているのが、「お前も働けよ」と言っているようだが、リュウは全く我関せずで、壁をペタペタと触っている。
ところで、ガーディアンは見た目にすごく堅そうだが、生身の手足で攻撃しているレイは大丈夫なのか?
「レイ、かなり堅そうだけど、手とか足は大丈夫か?
痛くなったらすぐに言うんだぞ?」
「だいじょぶ」
確認するアキヒサに、レイがコックリと頷くレイ。
だが、やせ我慢している可能性も考えてステータスを見ると、特に怪我の表記もなく、本当に平気らしい。
どうやら以前に怪我をしてしまった時の、リュウの身体が特別堅かったということのようだ。
リュウの鱗は、もしかしてこの世界でも最強クラスの強度なのではないだろうか? それを生身で割ってしまう、レイの頑丈さも半端ないのだが。
――これ、下手な防具とか買っても、レイの力に耐えられなくて即壊れる未来が見えるな。
打撃が主な攻撃方法であるレイに、手袋と靴を新調してやりたいと思うのだが、素材を吟味する必要がありそうだ。
けれど、そんなレイすら軽くあしらうリュウが、No.1を恐れているわけで。
「なあリュウさん、そのNo.1ってのは、そんなに危ないヤツなのか?」
アキヒサが尋ねると、リュウが「そうだ」と肯定してNo.1について説明してくれた。
「マスターが初めて作った生体兵器とあって、『完全なる存在』を目指したらしい。
それが完成して、その万能さから『神』とスキルを名付けたわけだが、すぐに不具合が出た」
「不具合?」
No.1制作秘話を聞くアキヒサの脳裏に、中二病全開で制作に没頭してしまうオタクの図が浮かびつつ、先を促す。
「No.1はマスターよりも己が上で、自分が世界を支配するなんぞと言い出したという」
――やっちまったな、マスター!
アキヒサは声に出すのをぐっと堪えたものの、内心で強めにツッコむ。
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