第148話 例のアレ
「No.01……って、あ!? もしかしてアレか!?」
アキヒサはピンとひらめいた。
というか、生体兵器のNo.01の説明が謎過ぎて、ずっと気になっているのですぐに思い出せたのだ。
――No.01って確か、破壊処分になったっていう!
なにをやらかしたら破壊処分にまで至るのか、謎過ぎる生体兵器である。
アキヒサの言葉に、リュウが重い息を吐いた。
「そうだ、No.01は『神』スキルを所持していた、我々の始まりだ」
今なにか、すごいパワーワードが出た気がする。
『神』とは、神様の神なのか? レイは『鬼神』、リュウは『地神』というスキルだが、No.01がそのまま『神』とは、ジャンルが大きすぎてどんなスキルなのか想像がしにくい。
「No.01に関するものは全て破棄されたか、我々を造る材料になったはず。
それがまさか、このように残っているとは……。
隠し研究所か? それが今になってわかるなど、なんという巡り合わせか」
リュウがしみじみと独りごちているが、とにかくウン千年、もしくはもっと長い時間越しに新事実が判明したらしいことはわかる。
「あ、そういえば!」
ここで、アキヒサは思い出した。
レイがニケロに来たばかりの頃、あの金ピカの教会を妙に気にしていた。
「なんかいる」などと言っていたのだったか。
そのことをリュウに話すと、リュウが「うぅむ」と唸る。
「鬼神が察知したのか? なるほど怪しい」
「あれ、もしかしてリュウさんにはわからないのか?」
リュウの言葉にひっかかりを覚えたアキヒサは、素直に尋ねてみた。
すると「いかにも」とリュウは頷く。
「私はそちらの感知力は鈍いのだ。
むしろ鬼神は感知に特化した個体だ」
なるほど、どうやらレイの気配察知能力の高さは、生体兵器の基準能力ではないようだ。
――ってことは、レイってひょっとしてアサシン的な能力を与えられたのかな?
あの気配察知に俊敏さ、一撃必殺ぶりだと、ゲームのキャラメイクだとまさしくアサシンが似合うだろう。
今度あの奇抜な服を売っていた店で、忍者風の服を頼んでみたら作ってくれるだろうか?
今のところレイは買った服に全部袖を通して満足しているが、それでも思い出したように引っ張り出して着ているし、一番のお気に入りはシロとのお揃い着ぐるみだ。
今日は普通の服装で良かった、もしシロ着ぐるみ服だったならば、ミチェあたりが引っ付いて離さなかった気がする。
アキヒサの思考が一瞬そのようなことに逸れていると。
「それに鬼神は、そもそもNo.01の欠片の破壊のために揃いで造られたのだからな」
リュウがまた新情報を出してきた。
「そうなのか? って、揃い?」
揃いとはどういうことか? 理解ができないアキヒサに、リュウが怪訝そうにする。
「鬼神は人間風に言えば双子だ。
なんだ、会ったのではないのか?」
「いや、覚えがない」
リュウに問われても、アキヒサは首を横に振る。
コンピューターに押し付けられたのはレイだけだし、他にもいるなんて話は聞いていない。
もしいたならば、あの時一緒に出してきそうなものだ。
「なんだ、ろく自己紹介もできぬとは、相変わらずの恥ずかしがり屋か」
アキヒサの反応に、リュウがそんな風に言う。
レイの双子の片割れが、まるでコミュ障キャラみたいに言われているのだが。
「とにかく、こうなっては早急に調べなければ危ない。
行くぞ鬼神」
「む~!」
そう言ってリュウがレイをつまみ上げようとするのに、レイが全力でアキヒサにしがみついて抵抗している。
生体兵器に危ないと言われると、なんだか世界の終わりが来るのではないか? という気分になるのだが。
危険とはどのくらい危ないのか? とアキヒサが尋ねようとしていると。
「あの、なにか分かったのですか?」
そこへ、アキヒサたちの会話についていけなかったであろうアマンザが、恐る恐ると尋ねてきた。
彼女への説明は必要だろう。
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