第77話 ご飯と味噌汁と浅漬け
中山美咲は海斗と小野梨紗を見た。
「次は味噌汁ね。包丁を使うから注意してね」
小野梨紗も張り切っていた。海斗に料理の出来る所を見せたかったのだ。海斗はやかんと鍋で湯を沸かした。油揚げを網に置き、やかんのお湯をかけた。
小野梨紗は首を傾げた
「ねえ、どうせお湯に入れるのに、どうして油揚げにお湯をかけるの?」
「油揚げに付いている余分な油を流す為だよ。この一手間で美味しくなるんだよ」
「へー、お湯をかけるね」
梨紗は豆腐を、まな板に置き慎重に包丁を入れた。皆は手が止まり、息を呑んで豆腐を見た。切り終わると皆の声が聞こえた。
「おー!」
上手にさいの目に切る事が出来た。次に油揚げも短冊状に切った。海斗は鍋に顆粒出汁を入れ、小野梨紗は鍋に豆腐と油揚げを入れた。
中山美咲は注意を払らった。
「順調ね、一煮立ちしたら火を止めるのよ。煮すぎると豆腐にスが入るからね」
最後に火を止め味噌を溶か仕入れ、出来上がりとなった。
海斗は小野梨紗を見た。
「梨紗、料理上手なんだね。料理は出来ないって言っていたのに驚いたよ」
「そうよ! 見直したでしょ!」小野梨紗はニコッと笑った。
林莉子は炊き上がりのタイミングを確認をした。
「ねえ、美咲、炊飯はそろそろかな? 」
「そうね、ココが難しいのよね~、吹き出し加減も良いし、時間的にも良い頃よね、莉子、火を消そうか」
林莉子は火を切った。小野梨紗は質問をした。
「何で蓋を開けて見ないの? 炊けたかどうだか、分からないじゃん」
皆は梨紗を見た。梨紗はドキッとした。中山美咲は説明をした。
「そうよね、梨紗は知らないのね。皆は小学生から家庭科で習うのよ。最後は火を止めて蒸らすのよ。ココで蓋を開けちゃうと蒸気が無くなるから開けちゃいけないのよ。コレをすると、ご飯が美味しくなるのよ」
「へー、蒸らすのね」
小野梨紗は基本を学ぶ事が出来た。海斗達の班は無事に調理工程が完了した。
隣の京野颯太の班は静かなものだった。京野颯太と女子三人は全く調理が出来ず、視聴者に徹した。頼りになるのは、遠藤駿と田中拓海だった。流石、うなぎ屋の息子と手伝う友人だ。遠藤駿の味噌汁は煮干しから出汁を取った本格派だ。
佐藤美優は完全に頼っていた。
「駿がいてくれて、頼りになるね!」京野颯太は感謝をした。
「駿! ホント助かるよ」橋本七海はわがままだった。
「あ~あ、もう、お腹好いちゃったな。早く食べさせてよ」
遠藤駿は呟いた。
「俺も伏見の班が良かったな~、皆で仲良く作ってさあ、なあ拓海」
「ホントだね、家庭科の授業というより、強制労働みたいだ」
橋本七海は言った。
「駿も拓海も、手が止まっているわよ。完成に向けてがんばりなさい!」
それを見ていた海斗は思った。橋本七海は結婚すると亭主を尻に敷くタイプだな、目に浮かぶよ。それでも何とか京野の班も無事に作り上がりそうだな。ん? 焦げ臭い! あ~あ、どこかの班はご飯を焦がしたな。
海斗達は出来上がった料理を盛り付けを始めた。
林莉子は小野梨紗を呼んだ。
「梨紗、ちょっと来て! 炊き立てのご飯の香りを嗅いだ事、有る?」
「ううん、そんなに気に止めるものなの?」
他の四人は手を止め、鍋の前に来た。小野梨紗は出遅れた。
「待って! 蓋を開けないで!」
海斗は梨紗に場所を譲った。林莉子は蓋を開けた。ふわーっと、白い湯気が上がり、湯気からご飯の甘い香りがした。
小野梨紗は感動した。
「うわー、良い香りねー! 知らなかったよ。それに粒が立って光っている。これが炊きたての良さなのね。呼んでくれて有難う」
皆は再び盛り付けに戻った。林莉子も中山美咲も炊き上がりにホッとした。
各班は評価用に少量を盛り付つけ用意した。
長谷川先生は終わった班から評価を始めた。長谷川先生は言った。
「おっ! 流石、中山の班だな。早くて綺麗だ。見た目はA評価」
長谷川先生は、浅漬け、ご飯、味噌汁の順に箸を付けた。
「う~ん、美味しい! 味もA評価です。さあ、食べ始めていいよ」
評価が終わった班から食べ始める事が出来た。海斗は言った。
「それじゃあ、皆、食べようか! 頂きます!」
「頂きます!」
皆は自分の作ったものから、箸を伸ばした。中山美咲は良く噛み締めた。
「皆、上手ね。どれも美味しいわ」小野梨紗は感動をした。
「ご飯も、美味しく炊けている、凄い! 炊飯器が無くても美味しく炊けるのね」
林莉子は誇らしげになった。
「うん、炊飯は上出来ね! 梨紗、なかなか難しいのよ。美味しく炊けて良かったわ」
鎌倉美月は浅漬けを食べた。
「蓮、揉みすぎたかと思ったけど、ちょうど良かったね」
「うん、塩加減もちょうど良いね。素朴な献立だけど、皆で作るとご馳走だね」
皆はうなずいた。上手に出来た事に中山美咲は喜んだ。食べ終わると後片付けを済ませた。
中山美咲来は一回目の調理実習を無事に終え、A評価を取得した事にホッとした。皆で作る達成感と喜ぶ顔を見て、やりがいを覚えたので有った。
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