夜明けはグラスと共に

@kumakuma5

プロローグ 「そのBAR、そこに在り」

日本の首都、東京

ここには大勢の人が集まる。


夢を持ち地方から出てきた者。

夢破れて散ってゆく者。

理想を追い続ける者。

現実しか追えない者。


今日も大勢の人が行き交っている。

人がいれば音もある。

いわゆる「喧騒」だ。

話し声、足音、乗り物の音、、、。

本当にいろんな音が集まって「喧騒」となる。


そんな喧騒の中を抜けて、一歩路地裏へと足を踏み入れると

すべてがガラッと変わる。


湿っぽい外壁、薄汚れたポスター、ポイ捨てされたゴミ。

人も全くいない。

そこに在るのは「静寂」のみ。


それもそうであろう。

この路地を通る人なんて、滅多にいない。

そう「滅多に」だ。

本来ならこんな路地裏に人は来ない。

それでも来る人はいる。

それは人々の間で、とある噂が広まっているのだ。

「路地裏に悩み事を解決してくれるBARがある」

「普段は薄暗い路地裏だが深い悩みを抱えている人が訪れると温かい灯りがつく」


本当にそんなことがあるのだろうか?

何気なく考えていると、先ほどまで薄暗かった路地に徐々に灯りがついてゆく。

そして向かいの小さな建物の看板に灯りがつき、文字が浮かび上がった。


「BAR お悩み聞きます」


おそらく人々の間で噂になっているのはここのことであろう。

なんとも不思議な感覚だったが、勇気を振り絞り店に入ることにした。


アンティーク調の扉を開け、、、。


そして物語は始まる。





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