第7話 咲いた染井吉野と雫が垂れる山桜

記念日や記憶って忘れてたりしませんか。


いつ誰にあったり、この日は記念日なんて

人によって重要度が変わるので覚えてたり忘れてたりしますよね。

そう、彼も重要な事を儚く忘れていてそれが

君を傷つけるなんて思わなかった。


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楽しみがあるとすぐ一週間ってたちませんか。

この一週間ときたら、学校では結香も佑丞も全く話せず、真が話を繋げて頑張っていた。電話やLINEでは話せるのにやけによそよそしいというか危なっかしいというか。

もう、予想以上に大変なのだ。

そんなあわただしく一週間は終わろうとしている。

毎日しているのではないかと思うぐらい夜3人で電話で話している。


「真、明後日は絶対に来いよ。

なんかまた用事とか嘘要らねぇーからな」


「わーたよ。本当2人にさせられねぇーよ。てか時間とかはどうする」


「あまり早くすると真が寝坊するでしょ。でも10時には出たいよね」


「相変わらず、お前ら2人は朝が早すぎだろ。せっかくの休みはもう少し寝かせろよ」


相変わらず3人は仲がいい。

土曜日は佑丞は美容室と服を買いに出掛ける事にしたのだ。

真を誘おうかと思ったが、次女がたまたまショッピングに付き合えと言うことで一緒に選んでもらうことにしたのだ。

夏の朝何故こうも目覚めが悪くなるくるい暑いのだ。

佑丞は、クーラーをつけて2度寝をしようとしたとたんに勢い良く部屋のドアが開く。

このマナーや個人情報を無視するのが、次女の愛海まなみなのだ。

愛されるような広い心というが、全く反対に育ったなと思う。


「佑丞、いつまで寝てんのよ。もう9時なんだけど。さっさと準備しなさいよ」


「いつも言うけどノックしろよ。

それに愛海ねぇより準備かかんねぇの知ってんだろ」


愛海ねぇは待たされるのが嫌いで、女王様気質なのだ。

だからか、待たされるのはいつも俺で下手をしたら3時間も待たされたことがあった。

完全に目が覚めてしまった。

一階の風呂場に向かった。

浴槽にお湯を溜めたいが、それをしてしまうと愛海ねぇがまた怒りだすから、やめてシャワーで済ます事にした。

シャワーも浴びてスッキリしたので部屋へ戻り、髪をドライヤーで乾かす。

髪のセットをするので、アイロンもかけてワックスをつけセットは完了だ。

そうこうしてるうちに準備は終わった。

愛海ねぇはというと、今日は珍しく早く終わり買い物へと向かった。


車というのは便利だ。暑い夏なのに関わらず、部屋のように涼しく快適に過ごせる。

そして何より、歩いたり乗り換えなど一切ないのだから。

今日は有名なアウトレットに行くようだ、愛海ねぇと行く時は毎回ここなのだがブランド店が多く、学生が着るような値段の安さはまずない、お高いお店ばかりだ。

敷地内には20~30店舗の服屋さんや飲食店が入っている。


「マジで、ここで買い物をするのかよ。

勘弁してくれよ、俺は別の所がいいんだけど」


「当たり前じゃない。めんどくさいから嫌よ。アンタもここで買い物しなさいよ」


「こんな所で買って、着ていけるわけないだろ。嫌みで恥ずかしいわ」


佑丞はカジュアルな服にこだわっている

それに子供にブランドが合うとは思えない。

着たら着たで、服に着せられている恥ずかしい奴になってしまう。

愛海ねぇの買い物に付き合いながら色んな服を見ていたのだが、一店舗だけ気に入ったお店を見つけてそこで買うことにした。


「ねぇ、佑丞

お腹空いたから、あそこでご飯食べましょ。」


「わかったよ。本当に勝手なんだから

とりあえず車に荷物1度のせてくるよ」


すごく清潔感のあるパスタ屋さんだ。

佑丞は1度その場を離れ車に向かい愛海ねぇは、変わりに注文してくれていた。戻ったときには、料理も運ばれて愛海ねぇは待ってくれていたのだ。


「遅いわよ。早く食べましょ

まだ買い物終わってないんだから」


「マジかよ。俺、美容室も行きたいんだけど」


「それより、聞いたけど明日遊びに行く子って彼女なの」


「なわけないだろ。友達だよ、普通の友達」


「へぇ~友達と合うのにわざわざ服と美容室ねぇ」


なんで知ってんだよ。

愛海ねぇの情報網の広さときたら怖いくらいだ。

だが姉達にバレるとおもちゃかのように

もてあそばれちゃかされるのだ。

久しぶりの姉との買い物に付き合わされ

バレるなんてごめんだよ。

そうゆう時に限って見られたくない人に見られるのだ。

運がいいのか悪いのか分からないな。

やっとだ、8時間の死闘が終わった。

両手に持てないほどの買い物で全て俺が持つのだから疲れはてた。

風呂に入って寝ようとしてる俺を愛海ねぇが呼び止めた。


「今日は頑張ったわね。あんたに似合うネックレスがあったからこれ、あげるわよ。」


「マジで、ありがとう。明日つけて行くよ。」


「少しは身に付けた方がいいわよ。

つけすぎるとダサいけど、1~2個はつけた方がかっこいいから」


いつもはパシリかのように扱うが、ふとした優しさで嬉しく思ってしまう。

今日は疲れたお陰でぐっすり眠りにつき明日を迎えた。


今日は珍しく、真が先に来ていた。


「どうしたんだよ。何かあったのか」


「普通だろ。時間前に来るのは」


「真がそれを言うかよ。

結香がまだ来てないみたいだけど、、、」


「わっー」


佑丞の後ろから結香が大きな声で飛び出てきた。

びっくりしてこけそうになった。

真は知っていてそれを見て笑っている

本当に、3人ともイタズラ好きで隙あれば、仕掛けている。


「おはよう。佑丞

今日はやけに決めてきてかっこいいじゃん」


「たしかに学校の時とは違うから新鮮かも」


「2人に言われたら嫌味だよ。

結香も、、、、真もセンスいいよなぁ。

似合ってるし」


急に佑丞は恥ずかしくなり、真と一緒にして伝えてしまった。

チクッと背中が痛みがはしった。

真がつねっていて睨んできたのだ。

寒緋桜が咲くほど恥ずかしいのに、言えるのか。


「結香もすごく綺麗だよ。」


まさか、佑丞からそんな言葉が出るとは思わず2人は真っ赤に染まるが、真がそろそろ行こうといい、歩きだす3人

結香は、2回目ですごく嬉しかった。

でも、何故か虚しく寂しいと思ってしまう。


「ねぇ、今日は天気もいいし睡蓮も綺麗かもね」


「そうだね。でも、真は別の目的っぽいけどね」


「なんだよ。別にいいだろ。

俺は佑丞や結香みたいに花には興味がねぇーの」


歩くいて10分程度で目的地に着いた。

そこの湖では半分以上が睡蓮におおわれていた。

とても、綺麗なのだ。白とピンクのコントラストといえばいいのか感動してしまうほどだ。

2人は、眺めているにも関わらず真はというと目的のナンパが始まっていた。

シートを広げて、結香はスケッチをすることに佑丞は小説を読み出した。

木の陰と湖から吹く風がなんとも涼しく、気持ちがいい。

回りに人がいようとも、そこは2人だけの快適な時間が過ぎていくのだ。

佑丞は、結香を見た時にそのスケッチに俺の小説を読む姿と睡蓮がかかれていた。

凄く綺麗に湖と睡蓮が描かれており、俺の隣にいる結香は美しく感じるほどだ。

会話はないが、何故か楽しいと思う。

そばにいられて、別々の事をしているのに横を見れば結香がいることに落ち着くのだ。

真剣に描いている結香の横顔から目を離せないが、佑丞また小説の世界に戻っていった

太陽が沈むにつれ、睡蓮は眠りにつこうとしていた。

スケッチは無事に完成したようだ。

真はというと、戻ろうと思い近くまで行ったが佑丞の声が聞こえ立ち止まり木に隠れた。


「何かこうゆうのもいいなぁ。

すごい気持ち良かった。楽しかったし」


「私も思ったよ。久しぶりに気持ち良く絵がかけた気がする。本当に楽しかった」


「俺さぁ、今日改めて結香の事が好きって気持ちを実感したよ。すごく落ち着くんだ」


結香は嬉しそうだった。

そんなに結香の笑顔や喜んだ顔を見て、OKだと思えたんだ。

佑丞も嬉しく、夕焼けが初めて見たように思えたんだ。


「佑丞、やっとだよ。すごく嬉しいけど、、、、、私と佑丞は前に会った事があるんだよ。その時に佑丞は私にとって掛け替えのない言葉をくれたんだよ」


佑丞は覚えていなかった。

結香にとって大切な時間だった。

忘れられている事が、寂しかったのだ

蕾から雫が垂れていて結香は走って帰ってしまった。

佑丞は追うことができなかった

追っても、結香にかける言葉がなかったんだ。

雨が降りだしたのだろうか。


「佑丞は本当にダメダメだな

女の子にかけた言葉を忘れるなんて」


「真、聞いてたのかよ。

なぁ真は結香の過去の写真持ってる

あとさ、前の学校どこ」


「持ってるけど、思い出せるわけ

○○○○だよ。まさかさぁー」


「待ってそこって確か、学校同士の交流会があったじゃん」


写真を真から見せて貰った時に全てを思い出した。言葉も結香自信も

気づいた時には走っていた。

まだ夕暮れが足元を道を照らし教えてくれているようだった。

なんとなく、結香のいる場所が分かる。

家には帰っていないんじゃないかって

携帯のLINEがなり表示を見ると、

真から「走れ!!お前なら大丈夫」と背中を押された。

走る佑丞は結香と会うことができると謎の自信を持ちながらある場所に向かっていったのだった。

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