第二十二話

 それはまさに、青天の霹靂だった。

 いよいよ迎えたアリアン公演初日当日、その知らせは、兵士を引き連れやってきた宮廷式典局長によって突然告げられる。


「エドワードユーリッジ伯爵を、反逆者に加担していた容疑で拘束した。嫌疑がはれるまで、オーク座の公演は禁止する」

「そんな!何かの間違いじゃ…」


 絶句する俳優達の中、一人声をあげ反論しようとするオリヴァーをトーマスが制止する。


「わかりました」


 命令に従う意思を示すトーマスの対応に満足したのか、局長は仰々しく頷き、程なく兵士達と共にオーク座から去っていった。



「どうして!一体どうゆうことなんだ?」

「エドワード伯爵が捕まるなんて、反逆者に加担ってなんのことだ?」


 局長達が出て行った途端、俳優達の間に不安の渦が広がっていく。


「みんな大丈夫だ!まずは落ち着いて俺の話を聞いてくれ!」


 そんな中、何か知っているようなトーマスの呼びかけに、皆が一斉に注目する。

 今までにない緊迫した状況に緊張感を覚えながらも、トーマスは自分の心を落ち着かせようと大きく息を吐く。

 今彼らの動揺を鎮めることができるのはトーマスしかいない。失敗は許されないのだ。


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