第25話 特大ブーメラン
結局、一人でギルドを目指して帰ることになった俺は、ただいま絶賛迷子です。
そんな、森に一人残されてどうやって帰れっていうんだよ!
別に自分が方向音痴だとは思っていなかったが、むしろ森の中で方向感覚が狂わない奴なんているのか?
そもそも俺を方向音痴だという奴は、樹海に目隠ししてはいって、ぐるぐるバットをやった後に自力で戻ってきてから罵りやがれ!
「ゴホン」
だが、これで俺も他人のことを方向音痴だなんて言えなくなってしまった。アイツに今度出会った時は謝罪を検討しておこう。
そんなことよりも俺は二連続野宿を防ぐためにもなんとしてでもギルドに、俺の宿に辿り着かねばならない。
だが、帰り道が分からないのだ。
もう、ここは秘儀を使うしかないようだな。頼むぜ、相棒!
「【ランダム武器生成】!」
『ランダム武器:石鹸を生成しました』
「だーーーっ!」
石鹸は武器じゃない! 百人に聞いたら百人がこれは武器ではありませんって答えるぞ、これ!?
ってか、スキルもといあのジジイは何を思ってランダム武器として石鹸をだそうと思ったんだ? 頭おっかしいだろ!
ってかさぁ、折角お風呂場や水道の所から呼び出したなら、ラカンとかシャワーとかの方が武器に近いだろー。なんでわざわざ石鹸なんだ?
まあ、ソイツらがあっても今は役に立たないんだけどな。
「はっ、」
もしかして、野宿している俺にこれで体を洗えということなのか!?
うっせー、そんな気遣いできるなら、俺が帰れるような何かをくれ! ってかそもそも日本に返せっ!
「はぁ」
こんだけ不満を吐いたらもう十分だ。俺も途中から分かってたさ、こんな誰に届くわけでもない不満を心の中で思ったところで、無駄だってことはよ。
でも、思わずにはいられないだろ? たって石鹸なんだぜ?
よし、切り替えます。もうひたすら歩こう。ずっと真っ直ぐ歩いてたらいつかは人間のいる場所に辿りつけるだろ。
最終的にあのギルドに帰れればいいんだ。どれだけ遠回りしようと今更変わらん。
今はただひたすらに前進あるのみ、だな。
❇︎
もうすかっり暗くなってしまった。俺は一体どのくらい歩いたのだろうか?
ここの時間軸は日本とそんなに変わらかったはずだから、昼から夜になったことを考えれば5、6時間は歩いていることになるのか?
それでも未だに一向として森が続いているのだが。
今日も俺は野宿だな。
俺がそう決意した時だった。
「え、人間!? こんなとこで何してんの?」
声のした方向をそこには、先程の少年……によく似たエルフがいた。
「こんな時間にこんな所で何してんの? 死にたいの? もしかして自殺志願者? それなら邪魔してごめんね、バイバーイ!」
まるで嵐のようだったな。って、
「ちょ、ちょっと待ってくれ! 俺は自殺志願者じゃない! ただ道に迷ってるだけなんだ! どうか、どうか助けてくれ!」
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