須楼町の影商人

「おねえさん、おねえさん」

 23ろうちょうはおにもあんいとはえない。こうしたきゃくきだけならまだいいのだが、まれれつおんひびいてはけいさつしていくというまちなので、ざんぎょうわりのかおにじませたおんなあるいているのはむししつえるだろう。

 んでツカツカとあるいていくが、とうぜん、こんなギラついたかっこうおとこがすぐにがるゆうもなかった。

しないでよ、きっときょうあるとおもうからさ。はなしだけでもいてってよ」

 えきまであるけばこのおとこれる。だから、それまではあるつづけるしかない。

まってくれないからあるきながらはなすけどさ、ジブン、かげばいばいやってんだ。おねえさんれいだし、やするしたかうけど、どうする?」

 やっかいなのにからまれたなとおもいつつ、それをかおにはいっさいさず、なおはやあしあるいていく。まだみずしょうばいのスカウトやほうカジノのかんゆうみたいなほうがマシだったのだが、ぱらったくみあいいんしょううしなったにんげんこえをかけられるのがさいあくのケースで、それをわたし今日きょうかぎっていてしまったのだ。

「あ、そのかんしんじてないね。あしもとてみなよ、おねえさんのかげしかないでしょ、ね?」

 すこけてからかためんいちべつすると、なんおとことおり、そこにはわたしかげだけがちていた。どうようせないようにあるつづけるが、みょうはださむさですこふるえる。

「んー、せん! せんえんでいいよ、るのもうのもせんえん。」

 もうすこしで、えきいりぐちえてくる。あとすこし。あとすこし。

「あー、っちゃうの? おねえさんっちゃうの? こんなおとくなことないよ? になるでしょ?」

 にはなる。にはなるが、ぜったいにこのおとこかかわってはいけないことをわたしかくしんしていた。

 かいさつていけんをかざすおとともに、あんかんつつまれる。かえると、おとこ姿すがたはもうどこにもなかった。


 たまに、こういったことがあるのがろうというまちだ。

 そのよくあさは、くろずんでもとからないたいが4たいほどつかった。

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