第31話 眠れぬ夜は・2


入眠儀式は、定まりましたか?


睡眠の最大の敵はストレスです。貴女にとって心地好く、リラックスできるものを選んでくださいね。

ラベンダーの香りは安眠効果で知られますが、必ずしも万人受けするものではありません。それよりもジャスミンや薔薇がお好きというのなら、そちらを取り入れるのも良いですね。


儀式を終えたら、眠りの世界へ行きやすいように、準備運動をいたしましょう。

お任せください、私がお手伝いさせていただきます。



まずはベッドやお布団の上に、仰向けに寝転んでください。

膝を左右に開いて両足の裏を合わせます。以前お話しした、股関節のストレッチの要領ですね。

股関節が緩んで、血行が良くなります。


リラックスすることが大切ですので、無理に脚を開く必要はありません。脚の重みで、自然と心地好く開く範囲で良いのですよ。


次は、日中固まりやすい腰をほぐすために、ツイストを行いましょう。

左脚はそのままに、右脚を、左膝の外側までもっていきます。ウエストからひねるようにして、右肩が浮かないようにしてくださいね。

両腕を広げるとバランスがとりやすいですよ。壁などにぶつけないようお気をつけて。


腰に痛みや違和感がある場合は無理をせず、心地好い範囲にしておきましょう。

右脚の位置を上下に調整して、一番気持ちの良い場所を探してみると良いですよ。腰がストレッチできていれば、脚や膝は浮いていても構いません。


ゆったりとほぐれたら、最初のポーズに戻って、反対側も行いましょう。



ストレッチが終わりましたか?

それでは、お布団をしっかりかぶり直してください。

さらにリラックスするために、ゆったりとした呼吸に導きましょう。


5つ数をカウントしながら、ゆっくりと息を吸い込みます。

2秒ほど止め、今度は10数えながら息を吐きます。


カウントする数は、貴女のやりやすいようにしていただいて構いません。できるだけゆったりと、深い呼吸が良いですね。

そう、お上手です。そのまま繰り返して。


呼吸に慣れてきましたか?

では、それに合わせて体の力を抜いていきましょう。


といっても、力を抜くというのは、案外難しいものです。貴女も、気づけば顎や肩に力が入っていることがあるでしょう?

ですから、あえて一度力を入れて、それから抜いて行くのがわかりやすいですね。


まずは足先からまいりましょうか。

5つカウントしながらゆっくりと息を吸い、その間に「足指」に力を込めて握り込んでいきます。ゆっくり、少しずつで良いのですよ。


1・・・2・・・3・・・4・・・5

しっかり力を込められたら、そのまま2秒ほどキープします。


次に、息を吐きながらその力を抜いていきますよ。

10数える間にゆっくりと息を吐き、同時に足指の力を少しずつ抜いていってください。

リラックスして。肺の中に残っている空気も、指先に残っている緊張も、すべて体の外へ出し切ってしまいましょう。


いかがです? 足先が、じわっとほぐれましたか?


では、今度は脚です。

先程と同じように、息を吸いながら「太もも・膝・ふくらはぎ」に、ギュッと力を集めます。

感覚がつかみにくければ、片脚ずつ行うと良いでしょう。


5まで数えながら胸いっぱいに息を吸い込んで、脚にしっかりと力が入ったら、一旦止め、それから吐く息と共に力を抜いていきます。

ゆっくり10を数えながら、少しずつ。

力が抜けるほどに脚はだんだん重くなり、下へと沈み込んでいきます。

1つ数えるたびに、重く、重く。さらに深く、沈んでいきます。


次は、お尻です。

「脚のつけ根」をおへそのほうへ向かって押し込みながら、「お尻」もキュッと締めていきましょう。

それからまた、ゆっくりと力を開放していきます。ふぅっと息を吐きながら、お尻が重く、沈み込んでいきます。


同じようにして、「両手」「両腕」「下腹部」そして「肩」と、順番に力を抜いていきましょう。

まだ強張りが残ってしまっている部位があれば、そこをもう一度繰り返しても良いですよ。


息を吐くたび力は抜けて。

身体は重く沈み込んで行きます。

ふふふ。可愛らしい欠伸あくびが、出てきましたね。


あとはただ、ゆったりとした呼吸を繰り返してください。

息を吐くたびに、さらに体は重く、重く。頭も沈み込んでいきます。

お顔の力も抜いて。眉間も、顎も、リラックスしましょう。



さあ、もう何も考えなくて良いのですよ。感覚も手放して。

眠ろうとする必要はありません。

眠れなくたって構わないのです。


心配しないで。私がずっと、そばにおりますから。


ゆっくりと吸って。

ゆっくりと吐いて。


ただ、それだけで良いのです。


心地好い呼吸を繰り返して。


おやすみなさい。


良い夢を。


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