雪女がオンライン!?【上】~雪女の【雪女】による、プレーヤー狩り♪~

 【ホタルイカ】、【ますのすし】、【雪の大谷】ーーーそこは、


 富山が誇る観光地、【雪の大谷】の中。


 ふぇ?【雪の大谷】が分からない?

ーーーなら、ググれ!


 雪が20メートルほど壁が続く道の中を見たことがあるか?いや、ない。…はず。


 その雪の中は、1人の快適な空間になっている。


 氷で出来た部屋!インテリアも家具も、周りの雪を使っているから超エコ!壁も綺麗だろ!

 

 白く長い髪に、白と薄い青の着物を羽織はおった女性、雪女がこたつ(…に似せただけの氷像)にくつろいでいた。


『(雪女さま、人が困ってたよ!)』

『(困ってた~)』

『(困ってたね♪)』


『あ~、動きたくねぇ~』


 綿わたぼこりのような雪のせいが、ふわふわとまとわりついてくるー。


 今日は(今日も)、動きたくないんだよ!(いつもだらけている)


『(冬将軍さまに怒られるよ!)』

『(怒られる~)』

『(怒られる♪)』


『あの、帰ってきたのか?』

『チッ!

 今度こそ、ぶっ殺してやる!』


 冬の時期に吹雪が吹き荒れると、この地区を監査に来るクソ爺、


 その名も、冬将軍が来る。


 私を孫娘のように扱うが、監査が厳しいあの爺は大嫌いだっ!


『……しょうがない…な』


ーーー怖くはないんだぜ?

 ちょっと、人間を見に行くだけだからな!


………………

…………

……


『むか~し、むかし。

 富山の、ある町に住んでいたJKが、緊急事態宣言中に自宅にこもっていたら、体重がかなり、かな~り増えたそうだ。』

『運動がてらに立山登山チャレンジをYouTubeでLive配信しながら登っていたらぁ~……』


 山小屋の中で身を寄せ合っている、この親子は、救助までの暇潰しに父親が話始めた怪談を聞くことにしていた。


『ーーー登っていたら?』


 息子が、先をうながす。


『遭難してしまったんだ!』


 である。


『吹雪の中でスマホを失くし、整備された道からも外れ、来ない助けを願いながら死んだJKは、なったらしい』

『この立山で雪女伝説が伝わっているのは、その雪女が自分と同じ末路を通らないように、迷い人を眠っている間にふもとへと送るらしい!』

『どうだ!怖いだろ!』


『どこが?良い妖怪じゃん』

『…それで、この話のオチは何なの父さん?』


『つまり!

 雪女が麓まで送ってくれるから、安心して寝て良いってことだ!』


 父親は、息子の限界を感じていた。


『…眠くない』


『無理すんな!寝ろ!』



《Side:雪女》


『おい!

 私は、年取ってねぇよ!!』

『たった!80年前だろ!』


 雪女は、10年サバ読みした。


『だいたい…、

 スマホ失くすとか、ヘマしてねぇし!』

『電池切れしたから、捨てただけだ!』


 この雪女は当時、準備をほとんどしていなかったのだ。


 本来なら専用の登山ウェアを着るのに、時代遅れのを着ていたから、救助が来る前に力がきたのだった。


『ーーーお?

 ガキ♪お前、良い子だな♪』


 誉められて悪い気はしない。


『クソ爺に仕事を押し付けられたけど、むくわれたわぁ~(泣)』


 雪女がうるっときていると、この吹雪の中で遭難して逃げ込んだ山小屋にいる親子の父親が、息子に寝るように促していた。


『あぁ?

 それは、ダメだぞ。

『(……聞こえてないよなぁ…)』

 

 あと少しで、


 上で崩れた雪が雪崩になって、この小屋を


 伝えたいが…、基本的に霊的存在は人には見えない。犬とかには見えるのにな。


『チッ』



《Side:親子》


『今日は何で登山にしたの?』


『立山の頂上で、お前に渡したい物があるんだ!』


『誕生日プレゼント?』


 息子の誕生日は明日である。


『ギクッ!?

 な、何のことかな~』

 

『何で誕生日プレゼントを山の頂上で渡すんだよ?』


『朝日と一緒とか、何か良くないか!』


『誕生日プレゼントと認めた『な、何のこと~』…』


……


『『ん?』』『何か音がしたような』

『まさかーーー』


 板張りの壁に亀裂が入ったと思った瞬間に、雪が濁流だくりゅうのように流れ込み、柱が折れて、山小屋を呑み込んだ。



《Side:雪女》


『はいはい、はいはい』


 えていた木々さえもぎ倒して、辺り一面が銀世界になった場所で、雪が、雪女が回転しながら地上に出てきた。


『分かってっるわ!爺!』


ーーー爺が、どこかで監視してるな。

 つうか、吹雪自体が爺のようなものだし。


『…が、ガキが、褒めてたからだぞ!』


 雪女が照れながら雪を操作して、雪の中から2つのを浮かび上がらせる。


『無事に帰れよ~』

『お前らも、見てやってくれ』


『『『(分かったぁ~)』』』


 氷のカプセルには、無事に助けた父親と息子が入っている。


 雪女は、それをソリの形に加工し、雪を操作して麓へ流すのだった。


『(良いことをした…!)』


ーーーあ?これ…


 リュックが雪に残っていた。

 浮かべると、それは父親のリュックのようだ。


 中は?……こ、これはっ!?


………………

…………

……


 は、助けた報酬として……

 そう!無償の仕事なんてないんだよ!


『【-Rilly-】の【NEXT×STAGE】!!』

『ーーーの第4作♪』

『続いてたんだなぁ…』


 父親が息子に渡すつもりだった誕生日プレゼントの中身は、有名ゲーム会社の大人気ゲーム


ーーー【NEXT×STAGE】。


 

 雪女は第1作しか知らなかった。

 そもそも、開発段階で死んでしまったのでプレイしたこともない。


 だが、このゲームは開発当初から大人気になり、予約が殺到していた未来の神ゲーだった。


ーーーしかし、

 雪女は、知らない。


 神ゲーだった時代は、だったことを……


第1作 【NEXT×STAGE~OCEAN~】

 伝説の神ゲーム!

 7つの海を舞台に、人魚になり、様々な魚や海洋生物、たまに、空からの鳥などと戦うVRMMOゲーム!

 

 VR時代に入った当初で圧倒的グラフィック、モンスターそれぞれの特性をとええた行動システム、スキル名の発声からのスキル発動など、新技術を取り込んだことで人気を集めた!


第2作 【NEXT×STAGE~VOLCANO~】

 伝説のクソゲー!

 、火山地帯!

 前作、【オーシャン】で味をめた運営が調子に乗って、海と正反対の火山を選んだが大失敗。


 色合いに溢れた【オーシャン】とは違い、黒か赤ばっかり、モンスターも黒か赤で、火か岩のモンスターばっかりなので、プレーヤーの不満が爆発して盛大にした。


第3作 【NEXT×STAGE~OASIS~】

 【ボルケーノ】の【体温管理システム】をそのまま投入し、【ボルケーノ】の反省点、同じ色・同じ属性のモンスターすらも受け継ぐ。


 砂漠の中で、点々と存在しているオアシスだけが改良点であるが、これも【オーシャン】のグラフィックの転用である。


ーーー結果…、炎上すらしなくなり、【NEXT×STAGE】の人気がガクッと低くなっているとを雪女は知らない。


………………

…………

……


 ここは、大学の登山サークルが建てた山小屋。

 

『あった、あった♪』


 雪女は自分が造った氷の部屋には戻らずに、小屋で寛いでいた。


ーーーやっぱり、暖炉は暖かいわ~…


 マジ、ぅ~~~


 実際に、ちょっと溶けていた。

 だが、雪女が本気を出せば、夏場でも極寒の地に出来るので気にしてはいない。


『セット完了!ヘッドギア装着!』

『【ゲーム・スタート】!!』


………………

…………

……


『ま、そうだわ…な』


 【-Rilly-】の【NEXT×STAGE】は、フルダイブ型VRMMOゲームである。


 フルダイブ型VRMMOは、ヘッドギアから脳波を読み取り、電波を脳に送ることで、使用者をゲームの世界へと誘うゲームだ。


『そもそも、生きてないし』


 つまり、脳波が読み取れない。


ーーーこれも…麓まで届けるか…っと、ソフトを本体から外そうとした瞬間。


ジジジッ……バチィッッ


 室温の上昇によって、外気がいきとの温度差が開いたことにより、雪女の身体から溶けたゲーム器本体に侵入し、小さくスパーク!


 その静電気のような細い放電が雪女に触れると身体が一瞬だけ電気を纏って、パッっと


………………

…………

……


ーーー雪女に助けられた親子の息子が目を覚ます。


『と、父さん!』


『どうした?

 ……ハッ!大丈夫か、拓実たくみ!!』


 父親は目が覚めると、そこは、立山の麓近くの雪原の上だった。


『俺!雪女、見たよ!』


『は?…は?』

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