ホーリーナイト、国王から重要任務を任される!
リーファはディオスへと詰め寄る。
「あの、いつになったらライルさんはお戻りになられるんですか?」
「い、いやもう少しかかるな」
「何処へ行ったか教えて下さると助かるのですが」
「そ、それは――」
ディオスが誤魔化そうとした時、部屋にエルシー達が入って来た。
ディオスは内心助かったとホッとした。
「どうした急に慌てて」
「国王からの呼び出しよ。緊急だってさ」
「国王から!? そうか」
ディオスは下卑た笑みを浮かべた。
「リーファ、先刻は少々不調だった。今回の一件で俺達の実力を完全に証明して見せる」
「はあ……」
「お前も付いてきてくれ」
「分かりました」
リーファは最早【ホーリーナイト】に猜疑心しか抱いていなかった。
だが何故ライルが居ないのかだけが解せなかった。
「国王様。遅れて申し訳ありません」
「よいよい。お前たちはこの国のトップなんだ。些細なことは気にしない」
「お褒めのお言葉誠にありがとうございます」
ディオス達は国王の前で跪き頭を垂れる。
ディオスは内心チャンスだと思っていた。
「今日はお前たちにある重要なクエストを任せたくてな」
「どんな任務も請け負い成功させます。それがホーリーナイトですから」
「ははっ、頼もしい限りだ。あの役立たずもいなくなってますます好調なようだな」
国王の言葉に【ホーリーナイト】の全員がドキッとした。
リーファが眉を顰める。
「国王様役立たずとは一体?」
「ああ、あのゴミか。奴は――」
「ゴホン!!」
ディオスは大きな咳払いで国王の言葉を遮った。
「国王様それで本題ですが、重要な任務とは?」
「おおそうじゃったな。このアイギスの東にある森に凶悪なモンスターが出現してな。討伐してほしいのだ」
「分かりました。では早速行ってまいります。失礼します」
ディオス達は足早で国王の前から姿を消す。
リーファは先刻の言葉が引っ掛かっていた。
「役立たずとは誰の事ですか?」
「あ、ああそれは――国王の勘違いだ」
「はあ……そうですか」
「それより俺達の実力を証明して見せよう」
ディオスは何とか誤魔化しの言葉を述べる。
しかしリーファの猜疑心は最早限界まで来ていた。
冷めた目でディオス達を見る。
「ライルさんは一体何処で何をなさっているのでしょうか」
リーファは大きな溜め息をついた。
◇
ディオス達は国王の命令を受けて王国アイギスの東にある森に向かう。
道中出現したモンスターを討伐していく。
「息切れしてますがどうしたんですか?」
「え、いや何でもない。少し疲れただけだ」
「この程度でですか!?」
ディオス達【ホーリーナイト】は弱かった。
Dランクモンスターを討伐こそ出来てたものの、無駄な動きが多すぎて息切れしていた。
ライルの《ラプラスの悪魔》がいかに強力で優れていたかが分かる。
「ちょっと不味いんじゃないの?」
「分かってるがいつもと違って本調子じゃないんだ」
「それは俺もだ」
「僕もですね」
四人は何故か原因不明の違和感に襲われていた。
その原因はライルの《ラプラスの悪魔》の有無なのだが気づいていない。
無駄な攻撃、無駄な移動、無駄な魔法。
ライルが居なくなったことで、【ホーリーナイト】の実力不足が露呈していく。
「まだ森にすら着いていませんが」
「大丈夫だ。さっさと終わらせよう」
「はあ…………」
リーファはディオス達に完全に失望していた。
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