第17話 それぞれの平日 その2

 ……


 私は朝ご飯の後片付けの後、何をしようかなと考えていると、洗濯機に洗濯物が溜まっている事に気が付いた。


(お父さん。何も言っていなかったけど、洗濯していないよね)


 私は洗濯機が置いてある洗面台に行き、洗面台の下の扉を開くと、洗濯洗剤と柔軟剤が置いて有った。


(洗濯はずっとお父さんがしていたからな…どうしよ?)

(……まあ、私が洗濯しても良いよね!)


 家事については何も書いていなかったけど、家事をやって怒られる事は、まず無いからする事にする。


(洗濯機の電源スイッチを入れて、普通のコースを選択して、後はスタートボタンを押す!)


 洗濯機は『ゴウン、ゴウン』と動いて、それが落ち着くと、水量と洗剤量が表示されて同時に水が出てくる。

 洗濯機はたまに動かす事が有るから、操作は戸惑う事無く進む。

 洗剤と柔軟剤を水の表示量通りに入れて、洗濯機の蓋をすれば後は勝手に洗濯してくれる。


(洗濯は取り敢えず良し! 後はどうしようかな?)


 洗濯が完了するまでは、しばらく時間が掛る。


(ん~~、やりたくないが、夏休みの課題でもするか…)


 私の秘密の箱(段ボール)が置いて有る寝室の部屋に向かい、その箱から夏休みの課題を取り出し、居間で課題をする。


 ……


 洗濯が終わる位の目安で課題をする。しかし、課題のキリが付いた時には洗濯の方はとっくに終わっていた。

 今日は曇り空だが、お天気アプリでは降水確率は低かったので、洗濯物をベランダに干して、台所の汚れが少し気になったので軽く掃除する。フローリングに落ちている髪の毛が気になったので、更に部屋を掃除機で掛ける。


(何か、不思議な気分……。お母さんに成ったみたい!)


 お母さんの仕事はこれだけでは無いけど、気分だけは味わえた気がする。

 一通りの掃除を終えるが、時間はまだ11時を過ぎた位だった。


(掃除終えちゃったな。後はどうしよ…)


 時間を持て余すような事が起きる事は、最近無かった気がする。

 私は次に何か出来る事は無いか、考える事にした。


 しばらく私は考える。

 私に何か出来る事は無いか?

 しかし、考えて直ぐに思いつくなら良いが、中々そうは行かない……


 普段の家事はお母さんが全てやる。私達は(お姉ちゃん・真央)お手伝いで有る。

 料理・洗濯・掃除・近所づきあい・!!!の事も……


 お母さんの料理は美味しい訳でも無いけど、不味い訳でも無い。俗に言うお母さんの味だ。

 掃除も良く、髪の毛とか埃が残っている時も有るけど、じっと見なければ気付かない時が多い。


(お母さんの真似をしても、お母さんだからな…)


 同じ真似をするなら、上手な人を真似にしたい。でも、そんな人、私の身近には居ない……


(何か考え事していたら急にお腹が減ってきた)


『腹が減っては戦は出来ぬ!』


(お母さんが良く使う言葉だ!)

(お母さんにとっては、家事は戦場と同じなんだろう!?)

(恐らく……)


 私もお母さんの血を引き継いだのか、お腹が減ってくると急にやる気が無くなる。

 と言う訳で少し早いがお昼ご飯にする事にする。

 早速台所に向かい、冷蔵庫の扉を開けておかずに成りそうな食材を探す。


「納豆、鮭フレーク、生玉子、後は佃煮か…」


 直ぐにおかず? に成る食材はこれ位だ。悪くは無いけど、お昼のおかずには物足りない。


「冷凍庫の方はどうだろう?」


 1人喋りをしながら冷凍庫を開ける。


「おぉ!」


 冷凍庫の中は、色々な食材で一杯だった!

 アイスクリーム、値引きシールが貼ってある肉類のパックやチルド品。小分けされたご飯。冷凍食品等、冷蔵庫とは段違いに食材が入っていた。

 冷凍庫の中をゴソゴソ探しながら食べたい物を探す……


「あっ、冷凍パスタが有る。色々な種類が有るな……これにしよ!」


 おかずと言うべきかは主食に成るが、好きな種類のパスタだったため、それに決めて電子レンジで調理をする。

 パスタだけでは少し物足りないので、調理されたパスタを皿の端に寄せて、保温されている炊飯器から白米を適当に盛り付ける。

 パスタ定食!? の完成だ!


「いただきま~す!」

「うん、美味しい!」


 炭水化物と炭水化物の組み合わせだが、パスタを2皿食べるのも何か申し訳ないし、パスタソースも味を濃いから、白米と合わせると、私取っては丁度良い感じに成る。

 朝食と同じようにあっという間にパスタ定食を食べ終わる。


「ご馳走様でした!」

「ふぅ。満腹では無いけど、満足!」


 空容器を軽く水で注いでからゴミ袋に入れて、フォークやコップは朝と同じように洗う。片付けも直ぐに終わる。


(冷蔵庫の中、殆ど食材が入っていなかったけど、晩ご飯はどうするのだろう?)

(お父さんが買って帰ってくるのかな? それとも、冷凍食品とかで済ますのかな?)


 やれる事はやってしまったし、後はダラダラと過ごすのも悪くは無い。折角だから近くの探索でもしようかなと考える。


(外に出るなら、昨日行ったスーパーの場所は覚えたから、何か買ってきてあげるか?)

(でも、勝手に買い物したら困ると思うからメールで聞いてみるか?)

(しかし、お父さん仕事中だからスムーズなやり取りは難しいよな……どうせなら、私が作るか!)


 難しい料理は出来ないが、簡単な料理なら出来る。

 焼くとか煮るとか茹でるとかの料理なら1人でも出来る!


(そうめんも、私1人で茹でるのは初めてだったけど、美味しく出来たし何とか成るでしょう!)


 晩ご飯を作る事を決意した私は、その事を早速お父さんにメールを入れる。

 時間もお昼前の時間だし、返信もお昼の間には来るだろう。たぶん……


 ☆


 お父さんからのメールの返信も来て、晩ご飯作りは私に決まった!


(さて、それなら早速スーパーに買い物に行くか!)


 窓から見える景色は相変わらずの曇り空だが、何時、雨雲がやって来て、にわか雨が降ってもおかしくは無い。


「あっ、でも、洗濯物はどうしよ?」


 私はベランダに出て、干してある洗濯物の乾き具合を確認してみる。


「う~ん、やっぱりまだ乾いてないな。洗濯物を仕舞ってからにするか!」

「晩ご飯のメニューも決めてないし、そうしよう!!」


 買い物は、洗濯物を仕舞ってから行く事にして、その間にメニューを決める事にした。


「何が良いかな? 簡単で美味しくて、お父さんが喜びそうな物!」


 私は居間で、晩ご飯のメニューを考える事にした。

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