視線
翠雨
第1話
カフェの時計に視線を逸らす
思わず「あっ!」と声が漏れてしまった
「どうしたの?」
「そろそろ時間だよ。友達来るんじゃない」
「そうだね」
「私もそろそろ行かなきゃ」
「ふーん」
“いらっしゃいませ‘’の声がする度
入口を気にしながら、私は急いで身支度を始める。
何度目かの“いらっしゃいませ‘’で、彼の友達がこっちに向かって手を上げて向かって来る。私は彼らに頭を軽く下げた。
彼に視線を戻して「今日はゆっくり楽しんできてね。」コートとカバンを持って急いで行こうとした時、腕を掴まれた。
「え!なに?」
「忘れ物」
彼の傍らにマフラーを見つけて、取ろうと手を伸ばした時、引き寄せらてしまった。
「忘れ物」
「ありがとう」
「違う」
「じゃあ、行ってきます?」
「違う、忘れ物」
ちょっと考えてイタズラを思いついた。
私は彼の耳元に“キス‘’をした。力がふっと抜けた彼に
改めて「行ってきます」と言うと、足早に待ち合わせに向かった。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます