第46話 食後のお茶…。

「ふう~、美味しかった。パトリシア嬢、実に美味だった」


 お出しした料理を最後のデザートまで、全て間食して頂けた様ですわね。

 案外気に入ってくれたのかしら。


「それは、良かったですわ。お口に合うか心配していたのですが」

「そうか、色々私と為に考えてくれたのか…。それは嬉しいね?」

「いえ、飛んでも御座いませんわ。考えるのも楽しいものですわ」ニコリと微笑む。

 

顔引きって無いかしら?


「それは……嬉しいな。君は随分とあの頃と印象が違うね」

「あの頃、ですの?殿下の仰っている、あの頃と言うのが分かりませんわ」

「まっ、そうだね……。君を見掛けたのは、あのデビュタレントの時一度きりだからね?」

「まあ、そんな幼い頃の事ですの?申し訳御座いません。全く覚えて居ません。私あの時は凄く、緊張していましたもの。それにあの頃は、素手に婚約者が居ましたから……」

「そうだったね?私もそれを聞いて驚いたが、だが不思議だったんだよ」

「あら、不思議でしたの?」

「ああ、何故君の隣に婚約者である。あの王子が居ないのかがね?」

「それは……彼方が王族でしたから。私は下に見られて居りましたし。だからではないでしょうか?今となっては全く関係が無いですが。フフフ」

「まぁ、そうかもしれないね?」

「ええ、殿下。其では移動………」


 あ………っ!サロンは今からお兄様達がいるわね、困ったわ忘れてました。


「どうしたね?」

「ええ、サロンには従兄弟達が居りますから、お茶をどうしょうかと思いまして……」

「それならここで、お茶でも構わないさ。私は君と話しをしたいからね。場所などは何処でも構わないよ」

「そ、そう仰ってる頂けるのは有難いですが……。ロミノ様申し訳ないですわ。殿下をこの様な……」

「いえ、構いませんよ。殿下がここで良いと、仰るのですしね。それに、他の方に邪魔されても話しが進みません」


「………」


 な、なんて返せば良いのかしら。

 言葉が出ないわ……何か言えば不敬だと言われそうです。


「ロミノ!お前の少しは言葉を慎めよ?パトリシア嬢に失礼だろ!すまん。執事が出過ぎた事を言ったね、パトリシア嬢。ロミノの言葉は気にしないで欲しい」

「い、いぇ。此方の不手際ですから……申し訳ありません」


「「……………」」


「……ほら、ロミノお前の所為だぞ!この空気どうするのだ。お前今日の夕食……部屋に帰っても無しだ!」

「そ、そんな……殿下それは余りにも」

「ふっ。ククク」

「おや?パトリシア嬢。何か可笑しかったかい?」

「ご、ごめんなさい。執事とのやり取りが、私達と似てて。ねぇ、グレン」

「ええ。そうで、ございますね?お嬢様……(似ては居りませんよ!まったく)」

「グレンとは、兄妹見たいなものですわ」

「なら、我らも似たかな?なぁロミノ」

「ええ…まぁ。少し違いますが………」


 複雑そうな顔をしてるわ。

 なら話しをそろそろ変えても良いかしら?


「そう言えば……パトリシア嬢。温室の見学はいつ頃になりそうだい?」

「温室ですか?それなら何時でも宜しいですわ」

「そうか……なら今から良いかい?」

「今からですの?」

「ああ、夜の温室デートも乙なものだ」クス。


 パチリとウインクして、クスっと笑うのは……やめて下さい。寒い鳥肌が…。


 何せ殿下の顔面偏差値が高いのは良いのですが……。

 ……効果は余りありませんわね。

 計算してこれなら、お兄様達の100倍は頑張って貰わないと…ときめかないわ!

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