第2話 領地に到着 2
領地へ入る門に向かって馬車が走ります。
どうやら、先頭の隊列が門を抜けたようですわね?
るすと、私達が乗った馬車も門を抜けましたわ!
「わぁ………」
「フフフ、どうだ?自分の領地へ戻ってきた感想は?シア」
「……………何だが、気の効いた言葉が出ませんわね………」
馬車の中から領地の景色を眺める。
「お兄様?」
「なんだい?シア」
「やたら道が整備されてませんか?」
石畳になっていて綺麗です。それに街路樹もあるのです………下手をすると、王都より綺麗では?
「何を言ってるんた?全部お前が言い出した事だろ?」
「はぁ?私が………です………の?」
えっとぉ~~~全く記憶に御座いません………。
やらかしてましたね、やっぱり。
「まさか、シア……?覚えてないのかい?」
「えっと~お兄様、ごめんなさい。覚えてません………」
「まぁ……仕方ないね?」
二人の会話が進まずに隊列は進んでいきます。
暫く黙ったまま馬車の中から外を眺める。
道の周りも整備されてますね………。
あら!町並みも綺麗になってて、何だか懐かしいわ………私が昔住んでいた日本の町並みみたいだわ………。
「シア、そろそろ屋敷に着くよ。ほら見てごらん」
アレクお兄様が、馬車の窓を開けて彼処だと言って指を指す。
「わぁ~何だが。見覚えが…………」
屋敷を見たとたんに、自然と涙が出てきた……。
アレクお兄様に隠れて涙を拭う。
それをアレクお兄様に観られてしまう。
「シアお前…………」
「な、何でもありませんわ?お兄様。そろそろ屋敷に入れるかしら」
「あ、あぁ。そろそろ先頭が止まって私達も屋敷の中に入れるぞ?シア、ここに帰って来れて良かったな?ん?」
とアレクお兄様が、私を抱き締めそして頭を撫でる。
「や、やめて下さいませ。お兄様、私はもう子供ではなくてよ!」
兄の腕から離れて、ソファーに座る。
「も、もうお兄様ったら………。でも、ありがとうございます」
「全くシアは………意地っ張りだね?さぁそろそろ馬車が止まるよ?私達の長かった旅の終わりだ。シア!」
「えぇ、お兄様。屋敷でゆっくりしましょう」
「あぁ、そうだね。シア」
ニッコリと笑うお兄様……ま、眩しい!
そして、兄妹で顔を見合わせて笑いあった。
しかし、パトリシアの涙は喜びの涙だったのか?
………それはパトリシアもわからない。
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