第82話 領地へ 川を渡る

 パタパタと走り父の元に行く。


「お父様!私が向こう岸へ行ってきますわ」


 突然、突飛な事を言い放ったパトリシアにすんなりと了解を出す父だが………。


「そうか?なら頼………む………はぁ?パトリシア!お前は、今なんと言った?」

「ですから、向こう岸へ行ってきますわよ?」

「………ど、どうやって?」

「それは内緒です。では、行ってきますね?転移門で戻って来ますからね?」

「………はぁ~。わかった!好きにしてくれ」


 完全に、諦めた表情をしてパトリシアを送り出す。


「了解ですわ!」


 早く行動しないとお兄様に見つかる前に!

 パタパタと走って、キックボードに乗り浮き上がり川を渡って反対岸に着いた。

 そして、人と馬、馬車が通れる位の大きな転移門を設置して、お父様達が居る反対側へ戻った。


「ふぅ~。それで、こっちに転移門を彼方の門と繋げて………と」


 OK出来たわ。完璧よ!


「だけど、試しに門を通らないとね?」


 出来上がって、繋げた門をくぐって歩くと反対側に着いたわね!これで確認出来たし、お父様に伝えないと……はぁ~疲れるわね?それにしても自分の規格外なチート能力にビックリよね!フフフ!

 何でもありって怖いわね………?

 さて、くだらない事を考えてないで……お父様のところに戻るわよ!

 そして、またパタパタと走り父の元に急ぐ。


「お父様!門が繋がりましたわよ?さぁ向こう門を潜って歩いてください。此方ですわ!さぁお母様も!」


 矢継ぎ早に、お父様に話をして父の腕を引っ張り門までつれ行く。


「ま、待て待て、パトリシア。まだ出発の準備がちゃんと出来てない!それにヴァンス達にも知らせないとな?」

「……そうでしたわね?ごめんなさい。先走ってしまいましたわ?」

「そうよ?パトリシア。急いで歩けと言われてもね?馬車はどうするの?」

「馬車も通れますわ!そのまま馬を引いて門に入れますし、乗って入ったらもっと楽ですわね?」

「……そ!そんな事が出来たのか!」

「ええ!ですからほら、早くこの門を通って仕舞わないと!」

「パトリシア………貴女は!全く他所の国の方もいらっしゃるのに………ハァ~」


 とお母様が溜め息を付いて呆れる。

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