閑話 大国の危機 Ⅳ

 ですから、私も騙されましたよ?と言うベクター教皇である。


「だ、だが。分かったのなら、神殿の力で強制的に抑えることが出来る筈だろう?」

「それは、無理でございますよ?この王都に、居た時に分かったならば、強制的に神殿へ迎える事は出来たでしょうがね?まぁ、それも無理でしょう?何せご子息のルーベルト様の婚約者でしたからね?」

「今更ですが、陛下?陛下は何故あれ程優秀な、ご令嬢を第一王子の婚約者に、しなかったのです?」


 一人の大臣が問うと、次々に大臣達が不満を漏らす。


「「「いや。それは

私も聞きたかった」そうでしたか」私もですよ!」

「私も、其が不思議だったのですよ?」

「あの、穀潰しのルーベルト様の婚約者など、あのご令嬢の才能を、溝に捨てたと王宮内で有名でしたよ?」

「そ、お前達。失礼ではないか!私を誰だと思っているのだ。無礼者目らが!」


 無能と言われて憤慨する国王。


「無礼とはこれいかに?そもそも、陛下がちゃんと政を把握していないのが問題だ!全て政をベルガモット殿に任せきりで、陛下は何をしてこられたのか?」

「う、煩!私だってちゃんと仕事はしておったわ!無礼者目が!」

「はぁ~陛下、そこにお座りになって。唯書類にサインをするだけでは、仕事とは言えないのは分かっておいでか?」

「そんなことは、幼い子供でも分かりそうだが?

あ!ですがご子息、特に三番目は陛下同様お分かりには、成らないですかな?」ハハハ!

「お前達、真に無礼であるぞ!」

「現に、何処の領地にも視察に出向いてないのが、良い証拠では?陛下が国王にお成りなってから何年経ちますかな?」

「それは分かりますねぇ~。ご子息の一人も政に関わりもせず、視察も行わない。妃様に関しては散財ばかりで何もしないしですしね?財務官が嘆いてますよ?陛下?」


「そ、それは……色々私にも………仕事がある。い、忙しいのだ!」


 家臣全員が国王を、国王と思っていないように馬鹿にしだす。


「さて、陛下。是非、私達に国王である貴方様の力を、見せて欲しいものですな?」

「そ、それは?」

「ほら、その様に何かをしろと言われると、弱気に成るのではなく。ちゃんとした国王のお考えで、物事を進めて頂きたい。と言う事ですよ?我々が求めているのは……。新たな宰相閣下と御一緒にね?」

「もしくは、世代交代ですかな?ハハハ!」

「いっそのこと、ベルガモット殿が国王に成った方が良かったのでは?アハハ」


 そんな冗談が国王の目の前で飛び交う。

 ここに集まる家臣達も、余り国王と変わりはないのだが………。

 発言権は、あるので自分達の領地の被害を国王せいにすれば自分達の気が収まる。その程度しか考えていない連中である。

 それに気付くのはいつの事か?


 別段ベルガモット家が、王都を離れたから被害が出た訳では………ない筈である。


 そう、パトリシアはなにもしていない。

 面倒に成って、何もしていないのが本当だ。

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