閑話 大国の危機 Ⅲ

 一体我が国の国土は、どうなってしまったのか?

 ベルガモット家が、この王都を出てまだ一月も経っていないのに………?

 すると、今まで無言で居た教皇が口を開いた。


「陛下?一つ、伺いますよ?」

「なんだね?ベクター教皇」

「ベルガモット家の令嬢と、ご子息は何故、婚約を破棄なさったのか?」

「そ、それは。私の息子が婚約破棄を言い出したのだ」

「陛下はそれを、お認めになったので?この惨事なのですか………?」

「…………何が言いたい?ベクター教皇?」

「いえね?彼娘は、私が考えるのにはですが…。聖女だったのかも?知れませんな」


 教皇の一言で回りの貴族がざわめき出す。


「何故そう考るのです?ベクター教皇」


 大臣の一人がベクター教皇に問う。


「先日、ベルガモット家の長男ヴァンス殿が、怪我人を数人神殿に連れて来ましてな。その怪我人に確認したところ、ゴブリンに襲われ怪我をしたそうですよ」

「それがなにか?」

「その治療したのがどうやら、パトリシア嬢では?ないかと言うことですよ」

「そ、それは。貴公の憶測では?」

「ですがねぇ………傷を治すのは、神殿の司祭か聖女様しか、出来無いのですよ。ですから私が思うに、あのご令嬢は聖女としか思えないのですよ」

「な、何!そんな馬鹿な……?憶測で物を言うでないぞ教皇!」

「それなら、何故早く神殿でなんとかしなかったのだ!」


 神殿側の怠慢だと一人の下臣騒ぎ始める。


「それは無理ですね?何せ分かったのが、先日の事でしたからね?」


 それはそうだろう、本人以外は知らない事でパトリシアの家族でさえ、確かな事は知らないのだから………。


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