第79話 領地へ・・・足留め

 朝食の時間から数時間が経って、もうすぐ昼食をと言う時間に雨が降りだして来てしまった。

 馬車の中で、お兄様とゲームをして時間を潰して居ると雨の音が聞こえた。


「あら?お兄様………外は雨ですわ」

「ん?」


 アレクが窓を覗く。


「本当だ!結構雨足が強いな……」


 何故……ですかね?馬車の窓から外の雨が見えるのは。結界を張っているので雨は結界内には入らないのだけれど。

 なんでだろうか?全く意味不明です。


「この時期にこんなに雨が強く降るなんて、珍しいな?これは………また数日は、川を渡れないかもしれないぞ?」

「そうなのですね。なら、どうしましょう?」


 足留めが長くなると食料が心配よね?大丈夫かしら。

 私も少しは備蓄我あるけれど………。

 皆は、暇な旅だから食事だけが楽しみだと思うのよねぇ………。


「少し父上と話して来るよ。シアは、待ってろよ良いな。出歩くなよグレン、ちゃんと見てろよ?」

「承知しておりますよ」

「失礼なお兄様!私。犬、猫じゃありませんのよ?」

「シア。犬、猫の方がまだ良いぞぉ~!勝手に出歩かないからな!」


 面倒も起こさないしな!と言われて仕舞いましたわ!


「失礼ね!お兄様!分かりましたわもう!フン」


 ふて腐れてソファーに座り。ルクスルトを呼び癒して貰う。


 ルト達と遊んでいると、馬車の扉をノックする音がした。


「あら?何方かいらしたわよ?グレン、誰かしら?」

「はい、確認して参ります」


 そう言って馬車の扉の小窓から外を覗く。


「お、お嬢様!クレマンド殿下と側近の方が外に来てます!どう致しますか?」

「え!殿下が何故わざわざ?グレン、外に出て御用を聞いて早く。馬車には入れないで頂戴ね?」

「は、はい」


 返事をして馬車の外に出ていくグレンですが………どうしましょうか?

 この中には招く事は出来ませんわ、何でお兄様がいない時に、尋ねて来るのかしら?まったく!

 厄介ですわね?殿下とは、もっと違う形でお会いしてたら良かったのに………?あら?何故そんな事を思うのかしら?嫌だわ………。


 私ったら、何を言ってるのかしらね?先日まで痛い思いをしてたのに…………。


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