第61話 領地へ 私って嫌われてるの?

 グレンとルクスの一人と一匹が、馬車に向かう。

 私はルトを肩に乗せて料理長の側まで、パタパタと小走りで向かう。


「料理長~、どこぉ~」

「お嬢様ここに居ますぜ、何かご用ですか。お!ルトも居るんですね?」

「ええ、そうなのよ。料理長、毎回呼んでごめんなさいね?」

「いえ!こちらは助かりますよ?何せメニューを考えるは大変ですからね?で?」

「ええ、今夜のお食事だけれど、もうリクエストが来たわよ?」

「は、早いですね?何を作りますか?」

「カツカレーだそうよ?」

「はぁ~?揚げ物を昼出したのに、ですかい?」

「えぇ、因みに食べたいのはお兄様達よ?」


 凄いわよね?と言うと料理長が頷く。


「……分かりました。馬車の中にもキッチンを作って貰えてるので。そこで、仕込んでおきますよ。香辛料はありますし、カレー粉も仕込んでありますしね

「そう?じゃよろしくね?あ!私とお兄様達は辛めが良いわ」

「ハハハ。分かりましたよ。では、また後で私は仕込みに入りますよ」

「あ!其からピッチャーとレモン出して貰えるかしら?蜂蜜とお塩も」

「ええ、良いですが?おい!ピッチャーとレモン、蜂蜜、塩持ってこい!」


 近くに居た若い料理人に声を掛ける。


「はい!直ぐに」


 走って頼んだ品を持ってくる。


「お、お待たせしました。料理長」

「おお、悪いな?お嬢様。此で良いですか?」

「ええ、ありがとう。見習いさんもありがとうね?」


 すると、見習いの料理人が赤くなったまま固まってしまって、返事が反って来ない。


「ほら、返事ぐらい出来るだろ?」


 頭を叩かれて小さく「痛って」と呟く。


「お、お嬢様。と、飛んでもございません。で、では……」


 と頭を下げて走り去った?


「あ、あの?料理長。私、変だったかしら?あ!私が無理ばかり言うから、皆さんに嫌われてますの?」

「は、何を言ってますか!お嬢様が居るから、皆頑張れてるのですよ?変な誤解はしないで下さい。あいつは後で叱っておきます!多分緊張してるだけですから」

「そう?なら構わないわ?叱らないであげてね?なら行くわね。料理長ありがとう」


 料理長にお礼を言ってその場を後にする。

 そして、クレマンド殿下が乗る馬車まで歩いて向かう。


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