第25話 領地へ 具合が悪いので……(嘘)
全く仕方がないですわね。ならアレクお兄様に動いて貰っても良いかしらね?
「アレクお兄様、ちょっと」
「何だ?シア」
「ちょっと、来てくださいませ」
そういって、ヴァンス兄様を残しアレクお兄様と殿下の居る場所から少し離れる。
(お兄様。あの王子様の側近の話は、埒が空かないですわね。なので、馬車を何とかしませんこと?)
(まぁそうなのだが。しかし、お前の力を他人に見られるのは不味い)
(わかって居りますわ、お兄様。ですのでお兄様のお力だと、勘違いをして貰いませんか?)
(ん?何だそれは、一体どうするのだ?)
(この、鞄。マジックバックですわ!)
アレクお兄様に、こっそり鞄を渡して締まって貰う。早くしまって下さいませ?
(…………ん?あぁ、そうか!)
渡された鞄を直ぐ様仕舞い、パトリシアの考えを読みとる。
(これでしたら、あの馬車ぐらいすぐに入ります。ですのでお兄様がお使い下さいませ。そして夜営地まで運び、そこで出して修理させましょう。如何ですか?)
(わかった、タイミングを見て動くよ)
打ち合わせが終わったので、元の場所に戻りアレクお兄様がクレマンド殿下に声を掛ける。
「失礼、クレマンド殿下。妹の体調が良くないらしく、先に野営地に戻して休ませてやりたい。出来れば貴殿の同行も遠慮したいとの事だが、了承して頂きたい」
「それは、悪かったパトリシア嬢。だから早めに野営地に戻りたがったのだね?それならば私達は後から君の兄上達と一緒に向かうとするよ」
「え、ええ、申し訳御座いませんが、先に御前を失礼いたしますわ」
と言って、その場を離れる事に成功した。
そして、野営地に戻りお父様お母様に事の顛末を話す。
それが終わって、料理長の元へ向かいボアをだす。
「料理長!」
「お嬢様、お戻りで?」
「ええ、遅くなったかしら?」
「いえ、大丈夫ですぜ?ですが、竈門を4ヶ所に作ってください」
「なら、さっそく作るわ。あと、お兄様達が楽しみにしていたボアを出すわね?」
「アハハ、そうでしたか?でもそれは私達も同じですよ」
「なん頭を出せば、いいかしら?追加で5人程増えるはずだし……」
「そうですね?お嬢様料理は何を出しますか?」
料理長と、話ながら竈門を作りながら歩く。
「そうですわねぇ………料理長。簡単に焼き肉は?タレは作れる?」
「そうですね焼き肉なら、簡単に出来ますね?大丈夫ですぜ覚えてます!」
最後の竈門を作り終えても話ながら歩く。
「なら、パンと野菜と……あ!ルト用に果物をお願い。ボアは結局、なん頭出すの?!」
「アハハ忘れてました、5頭もあれば多いくらいですぜ!」
「わかったわ、なら、5頭よ!料理長宜しくね」
最初に作った、竈門まで戻ってボアを出して料理長に任せた。
「任せて下さい!」
仕事を終えたパトリシアは、自分の馬車に戻る。
「疲れた………。ルクスとルトと遊びたい」
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