第20話 領地へ 一つの出会い……

 そして、一通り落ち着いたと判断したのか?

 アレクお兄様が、早々に帰還命令を騎士達に出したのですが……。

 何故でしょうか?


「さて、怪我も治った様ですね?では、我々はこれで引き上げよう。どちらに行かれるのかは、わからないがお気をつけて。おい隊長!皆を帰還させるぞ!」


 おお、お兄様随分早い幕引きですわね?などと思っていると、隊長が直ぐ様反応して引き上げる支度をする。


「は!承知致しました!!隊員集合」

「「「「「「「「は!」」」」」」」」」


 ものの数分で隊員が集まり、引き上げ様としたところで、待ったを掛ける人が居た。


「ま、待ってくれないか?」


 最後まで礼をしなかった男が口を開いた。


「は?何故か?」

「我々は貴殿達に、碌に礼もしていない」

「そんなのは構わないぞ?旅先での事だし。お互い様だ。我々も急ぐのでな、礼は不要だ。貴殿達も、道中気を付けて行かれよ」

「わ、我々は、アルバドラド国に戻る途中で、コボルトに襲われ………」


 そこに、キングコボルトを相手にしていた男が、私達が居る場所までゆっくりと歩いて戻ってくる。

 よく見ると中々の美男子である。あの馬鹿よりは全然よく見えた。

………まぁ、あれから比べたらどれも良く見えるのは当たり前かしらね?クスリ。


「やぁ、さっきは碌に礼も言わずに。すまなかったね?中々の勇ましさに、呆気にとられた。先ずは名乗らせてくれ!私は……」


 すると、ヴァンスが男を止める。


「待ってくれないか?名は聞かない、お互いに何もなかった!に……しておかないか?(何か嫌な予感がする。特に今、名乗ると言った男がパトリシアを、気に入った様だ。これは不味い。男を見れば、それなりの地位がある様子だ避けなければ)」

「いや、そうもいかんのだよ?出来れば手助けをしてくれぬか?」

「何故ですの?」と首を傾げた。

「我々の移動手段である、馬と馬車がこの様だ」


 よく良く見ると、馬が何頭か死んでいる。

馬車に目を移すと、車輪が破壊されて動きそうもないのを今……知った。(馬、何頭で移動してたのかしら?それに護衛の、人数も少ないわね?)


「はぁ~すまん。回りを見えてなかったな?これだと見放したのと同じか……」


 ヴァンスは相手に詫びながらも、厄介だと思う。


「あの馬車はなん頭引きの、馬車ですの?お兄様?」

「え?あぁ。この馬車だと………」

「四頭引きでしたよ。お嬢さん」


 アレクが考えてる空きに、アルバトラド国の人が割って入ってきた。


「え?あぁ、そうでしたの?では、馬車が直っても馬の数が足りないと無理ですわね?」

「え?ええ、そうですね。馬もこんな場所には、居ませんしね?困りました」ニコリと笑う。


  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る