第6話 ~ 静観するパトリシア 6 ~

 全く敬う気配もなく、慇懃無礼な態度を取るエミリア。

 先程の兄達との話で、ショックを受けたルーベルトは項垂れたまま動く事が無い。


「お前達二人が、犯罪奴隷に堕ちて貰う任期は13年だ。奴隷商人にお前達を、売り渡す手配は済んで居る。奴隷商人を呼べ!」

「え?ちょっと待ってよ!何それ聞いてないんですけどぉ-信じられない!てか、この木?木の手錠外せよ!」


 パトリシアは、玉座の後ろで一部始終を見てあのエミリア?日本人だなぁ~と思う。喋り言葉が私の居た頃と変わらないから、時系列はズレてないのか?とボンヤリと見ていた。


「父上、私は悪くないエミリアに騙された。悪くない悪くない、パトリシア!助けろ!パトリシア居るんだろ助けろ!母上助けて助けてくれぇ………」


 奴隷と、聞いたとたんに暴れ出すルーベルト。


「ルーベルト、何故今になって、パトリシア嬢の名を呼ぶ!お前が一番嫌いな相手だろ?パトリシア嬢は、私の者だよ。お前なんかには渡さない!恥を知れ!お前は奴隷になって死ねよバァ~カ!」

「クレールあ、兄上、パトリシアと……まさか嘘だ嘘だァーーーーーパトリシア助けろ!」

「うるさい!」


 ハインツが、怒鳴りルーベルトの側に魔で行き腹を蹴り付けた。


「ギャーーー い だ いー」


 蹴られた腹を抱えて踞った。


 するとそこに一人の奴隷商人が、謁見の間の中に入ってきた。


  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る