第34話 領地に帰る前の準備 34 ヴァンスお兄様………。

「あらあら、クレメント伯爵家ですか?ヴァンス?」


 それは困ったわねぇ………と呟く。


「ええ!母上も、ご存じですよね?」

「(知ってますが……厄介な……)えぇ……アデス。どうしましょう?」


 と言い辛そうに、母が父に問い掛けるが父は黙ったまま腕を組み黙り、暫くすると仕方ないと口を開く。


「むぅ…クレメント家か………」


「ち、父上何か問題が?」


 ヴァンスが不思議そうな顔をする。

 ここ最近の兄は、何時もとは余り変わらないけど……何か変?上手く言えないけど……。


「………パトリシア、ヴァンスを鑑定してくれ……」

「父上?なにを言って……」


 ヴァンスが慌てるが、それを父が宥める。


「まぁ~良いから、ヴァンス座れ。パトリシア頼む」

「わ、分かりましたわお父様。では、お兄様失礼します。鑑定…………………………ん?」



~~~~~・~~~~~~



ヴァンス・ベルガモット 

23才

次期ベルガモット公爵家継承者、王国騎士団

小隊長 

# 状態 魅了 (中度)まだ間に合います。


レベル 145


HP 2560

MP 1760


スキル 剣豪 火魔法 土魔法 



~~~~~~・~~~~



 ん?なんです?状態 魅力【まだ間に合う】?今まで鑑定しても、そんなコメントなかったわよ?

 まぁ……良いですね今はこっちです。


「深い所までは、鑑定しておりませんが。お兄様……残念です。何処でそのような者に、引っ掛かったのですか?」


 全く、何処のパーティーで知り合ったのかしら?


「ん、何だ?引っ掛かった?」


 まだ不思議そうね……でも、ご令嬢の事を悪く言うと騒ぐ可能性大です。ここは虎の尾は踏みません。


「ええ、お父様の勘が当たりましたわ。ヴァンスお兄様ったら、魅了の魔術に掛かってますわ」


「「「「魅了だと!」あの、女狐」兄上…」


 まったく【真実の愛】とか、言い出さない内に解除よ!

 あら?最近聞いたわね……流行ってるのかしら……?

 あ、兄はまだ言ってないか……。

 ヴァンスお兄様、ごめんあそばせ。(笑)




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