閑話 父と母side
一方、三人の子供達が狩りに出掛けたと執事から伝えられた両親は、朝食を二人で済ましサロンに移動して食後のお茶を飲んでいた。
「全く、ヴァンスの奴、昨日の事があるのに……何故悠長に狩りなど!」
少し腹を立てる父である。
すると妻から、宥められる。
「貴方。パトリシアの気が晴れる様に、ヴァンスが気を使ったのでは?それにアレクも一緒ですもの、心配せずとも大丈夫ですわ」
「ま、まぁ……お前が言うのなら、そうなのだろうが……」
(くそ!狩りなら私も出掛けたかった!パトリシアと出かけるなど、今まで殆どあのバカのせいで、無かったのだからな!ヴァンス……帰ったら説教だ!フフフ)
「貴方!それよりはも今日は、やる事が御座いますわよね?」ニコリ。
やる事がある?何だ……。
「あ、あぁそ、そうだな。あったなやる事が、まずは国王陛下に抗議の文と、その他諸々だな!」
「ええそうですわ貴方、頑張って下さいませ」
妻がお茶を飲みながらニコリと笑う。
「わ、わかった!しかし良いのか?お前の家にも迷惑が掛かるが……」
「大丈夫ですわよ、両親も三人の子供達が大好きですもの。ましてやパトリシアの今回の件が……耳に入れば当然、協力してくれますわよ?私の親類縁者は、皆パトリシア贔屓ですもの」
「そ、そうかならば……ベルガモット家は安泰か?私の両親……親類も軒並み同じだろうしな。詳しい事は領地に戻ってからでも、遅くは無いだろう?」
「ええ、そうですわ。王都での職務なんて失っても痛くも無いですわ!貴方……パトリシアが今まで領地に、もたらした才は絶大ですわよ!」
やや興奮気味の妻に、若干引くが……妻の言って居る事は事実なので否定はしない。
長年、王都で陛下の片腕として宰相等勤めたが政の問題が多すぎて嫌気が差していた。
これは良いチャンスが、巡って来たと考えれば良い。
さて、では陛下宛に文をしたため使いに持たせないとな、話は早い方が良いだろうからな。
パトリシアの為にも……。
そしてアデス・ベルガモットは、王都から一月の後に屋敷を引き払い、一家で領地へ戻って行く予定にし、事を運ぶ算段を付ける為に動き出した。
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