婚約破棄ですね。これでざまぁが出来るのね。

いくみ

第1章 

第1話 卒業パーティー準備 

 屋敷の自室で、卒業パーティーに出席する為にメイド達と支度を始めたのは良いが。

 中々コルセットが締まらず悪戦苦闘中に事故が起きた。


「お嬢様もう少しですから、少しだけ息を吐いて下さいね。行きますよ?………吐いて」


 勢い付けて締められれば事故も起きる。


 息を吐いた瞬間に、胸から腰までを一気に紐で締められ、クラっと目眩がしたと思ったらふらついてばたりと倒れた拍子に、肩と頭を軽く床に打ち付けたらしく意識が無くなった。


「キャー!お嬢様、どうしましょう。はっ!だ、旦那様。い、いえヴァンス様を*@#※*」


 メイド達がワタワタして大騒ぎになる。

 その騒ぎを聞き付けた、兄のアレクが部屋に飛び込んで来た。


「どうした、騒がしい!」

「あ、アレク様。パトリシア様が……お嬢様が!」


 アレクは、メイドが指を指す方を見ると床に倒れているパトリシアを見て、慌てて抱き上げベッドまで運ぶ。

 パトリシアをベッドに寝かせると、アレクはベッドから離れパトリシア付のメイドに怒鳴る。


「エルサ!何故シアが倒れた?言ってみろ」

「も、申し訳御座いません。私が…コルセットの紐の締め付けを、強くしてしまった為。その…お嬢様が倒れてしまい申し訳御座いません」


 何だか騒がしいですわね。

 あら?私はどうしたのかしら?なんでベッドに……寝てるの…?

 パトリシアは目を開けて、自分がベッドに寝かされているのを不思議に思う。

 目が覚めて起き上がると、頭と肩に僅かに痛みが走った。


「ッっ痛!」

「あっ!シア目が覚めたか痛むか?何処が痛い?」

「アレク兄様。だ、大丈夫ですわ。少し頭と肩に痛みは在りますが、此なら魔法で治せますわ」


 パトリシアは自分にヒールを掛けると、金色の光がパトリシアの体を被った。


 魔法が発動する様を見てアレクは思う。


《全く我が妹は、何でも自分でやってしまって、家族とは謂え余り人に頼ろうとはしない。なので家族全員パトリシアに、何かを頼まれると両手を上げて、願いを叶えようとする。全く家族を頼れよ!バカ妹……かわいいじゃないか!》


 と兄バカ爆発させているアレクだ…過保護にも程がある。


「これで大丈夫ですわ。アレク兄様、お兄様のお手を煩わせた様で、申し訳在りませんでした。それと、ベッドまでお運び頂いてありがとうございます。ですが、#私__わたくし__#の支度がまだですので少しだけ……。その…お部屋から出ていて欲しいのですが………」


 宜しくて♡


 コテンと首を傾げて兄に頼むパトリシア、なんとも小悪魔な……兄にはイチコロな頼み方にである。


「ああ……そうだったなでは俺は、サロンで待って居よう」

「ええ、ありがとうございます。ではアレクお兄様後程……」


 アレクが部屋から出て行くのを見送った後、パトリシアはベッドから下りてメイドに声を掛けた。


「エルサごめんなさいね?ちょっと気を抜き過ぎたわ」

「いえ、お嬢様。申し訳ございませんでした」


 申し訳ないと頭を下げ涙ぐむエルサにパトリシアは、笑顔向けて支度の手伝いを頼むのだった。


「さぁ、泣いてないで、用意をしないとねっ?エルサ、手伝ってくれないかしら?」


 私が、困ってしまうわとエルサに再び微笑んだ。

 するとエルサは、涙をハンカチで拭いて微笑み手を動かして私に話し掛けた。


「はい、お嬢様。そうでごさいましたね?さっそくお支度を始めますわね?」


 でもお願い、エルサコルセットの紐はもう少し緩めにしてね……。

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