高橋こころという人間。
夏凪碧
第1話 決意
青く広い空を鳥が飛んでいく。
その様子を病院の窓からみる。
僕は鳥が好きだ正確には鳥が羽ばたく瞬間が好きだ。全てを持っていってくれるようで。
余談になるが、なんで病院にいるかと言うと病気を患っているからだ。
今日、余命1年と言われた。だが、全く実感がわかない。
元々病弱だった僕は学校に行くことも少なく、友達もあまり出来たことがなかった。
ふと、窓から下を見ると一人の少女が病院から出てくる所だった。その少女は僕も知ってる。
え『高橋こころ』
人の心を読むことが出来るらしい。そのせいで生徒からは化け物と呼ばれている。
(辛いんだろうなぁ)
辛いだろう。自分は持ちたくて持った訳では無いのに持ってしまった力によって化け物呼ばわりされる。これほどまでに辛いとは無いだろう。
「ねぇ。今お姉ちゃんの事見てたでしょ。」
いきなり声を掛けられた。
「お姉ちゃんの事知ってるってことは学校の人なのかな?」
「あぁ、そうだよ。さっき、こころさんのことをお姉ちゃんって呼んでだってことは、君はこころさんの妹さんなの?」
「ゆかりだよ。」
「じゃあ、高橋ゆかりさんって言うんだ。」
「そそ、高橋ゆかり。君はどうして病院に居るの?」
「ちょっと、病気を患っていてね。ゆかりさんはなんで居るの?」
「私も同じかな。でも、全然重たくないから別にお見舞いなんか来なくていいのにお姉ちゃん優しいから毎日来てくれるんだよね。」
そうなのか。きっとあんな能力を持っていなければ好かれる人なんだろうな。そんな僕に現れた感情が…
「救ってみたい」
そんなこころさんを救いたいというものだった
「正気ですか?お姉ちゃんは今、人を憎み関わりを持とうとしていません。」
ゆかりさんは僕にそんなことを言ってきた。
「別に僕はそんなことを気にしてなんかいない。」
「そうであっても…」
ゆかりさんがなにか言おうとしていたが僕はそれを遮るような形で続ける。
「それにこれはただの自己満足だ。僕が自分の存在意義を見つけたいだけのただそれだけの事だ。」
「…そこまで言うならわかりました。なら名前を教えて貰ってもいいですか?これから何かと関わると思うので。」
そうだこれはただの自己満足に過ぎない。
「あぁ、そうだな。僕の名前は」
僕の人生が色の無い真っ白なもので終わらせないためだけのそして、彼女を救うための…
「砺波 疾風(となみ はやて)だよ。」
それ以上でも、それ以下でもない物語
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます